『海外から見た日本のセックス事情に関する誤り』について、そしてネット記事の役割について

 外国の人々にとって日本とはやはり不思議な存在のようだ。アジアで最初におおっぴらにヨーロッパに喧嘩を売ったり、戦争で負けたと思ったら猛烈な勢いで経済成長するし、怪獣やロボットを愛し、いつも変なことを追求している。そういった外国の日本観はというのは我々日本人からするとちょっと大袈裟に思えるし、少なくない確度でそれらは間違ってもいる。でも徐々にそういったケースは少なくなってきているように思う。映画の世界でも80年代映画によく見かける小さくて黒ぶちメガネをしてカメラをぶら下げている日本人は、現在の映画ではほとんど見なくなった。海外ニュースサイトで見つけたこんな記事を読んでいると、そういった変化を実感すると同時に、もはや海外にとって日本はただ遠いだけの存在ではなく、誤った日本観を日本を経由せずとも自浄する機能が作用していることがわかって面白い。

 Everything You Think You Know About Japan and Sex Is Wrong
 『あなたが見聞きした日本と日本人のセックスに関するすべては誤りだ』 

 記事を要約するに、ここ最近イギリスの新聞などでこぞって報じられていた、『日本の若者はセックスしなくなった』という問題に対し、この記事はデータの扱い方が非常に恣意的で、まったく真実を伝えていないと断じている。なかなか気合いの入った興味深い記事だった。
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 この記事を読んでまず驚いたのが、本当に有力な外国メディアが日本のセックス事情に言及していたこと。まずイギリスのリベラル紙、The Observerは『Why have young people in Japan stopped having sex?/なぜ日本の若者はセックスを止めたのか?』、そしてThe Observerの平日版のThe Guardianも『Japan’s Hottest New Sex Trend Is Not having Sex/日本の最新のセックス・トレンドはセックスしないこと』という記事を作り、それをワシントン・ポストやタイムズが取り上げている。

 これらの記事を読んでの第一印象は、やっぱり外国に人々にとって日本は遠い存在なんだな、ということ。確かに日本の若者は草食化とか言われているが、街を歩けば10年前,20年前とさほど違和感のない、若いカップルがデートを楽しむ姿に溢れている。ではなぜこんなニュースが外国で取り上げられるのかというと、やはり統計の弊害と言えそう。そして日本を含めた東方的世界への、未だ消えていない奇妙な期待、もしくは微妙な差別。しかしこの問題に関しては世界はどうにか均衡を保とうとしているようだ。すぐに反論の記事が出た。それが最初に取り上げた記事。

 例えば、“ある統計”という表現のなかに、“デート”と“一夜限りの関係”と“セックス”とが混同している。また未婚女性への聞き取りの表現として、“未婚でいたい”と“未婚でいることのメリット”を同義的に扱っている。こういったThe Observerの記事に関する、データや表現の恣意的混同を、この記事ではばっさりと斬り捨てていく。しかもこの記事は日本製のものではなく、Max Readさんという記者が書いている。

 この記事の最後には、日本は少子化に悩む唯一の国ではない。イタリヤやスペインやドイツも同じだ。彼らのセックス事情についても、訳の分からない、いちゃもんを付ける気なのかい?、と外国のリベラル紙に対して皮肉を送っている。

 これまで極論の舞台とされてきたネット上の記事が、逆に一般紙の劣情的記事に対して、是正する作用を果たしている。ネットの影響で売れなくなってきているとされる新聞が、読者獲得のために事実を超えた過剰な記事を書き、それをネットによって宥められる。等身大のニュースを伝える主体は、徐々に変わりつつあるのかもしれない。

 

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