【訃報】評論家、森本哲郎氏、死去。【文明とは】

東京新聞、朝日新聞などの記者を歴任、その後は世界各地を旅しながら文明について内的に考察していた評論家、森本哲郎氏が2014年1月5日に虚血性心不全のために亡くなられました。

森本氏が写真家の富山治夫氏とともにアルジェリア南東部のサハラ砂漠にひろがる山脈、タッシリ・ナジェールを旅したのが1969年。日本国内が学生紛争で荒れている最中に彼は現代とは隔絶された荒涼の大地を彷徨っていた。その旅のなかで彼はサハラ砂漠とは別の内的に文明を巡る旅も同時に経験する。それらは『サハラ幻想行』に“私の心の記憶”として残されている。

▼『サハラ幻想行』▼

森本氏が1969年にサハラ砂漠を旅していた頃、インドでは藤原信也が旅をしていた。ともに旅の記録という体裁を取りつつも、40年以上が経過しても現代への示唆となりつづけている文明論でもある。

▼『インド放浪』藤原信也著▼

ある著作のなかで、森本氏は“文化とは、必要最低限の生活環境から上乗せされた無駄から生まれる”のではないか、と推測した後に、では余計なものを一切拒否するサハラ砂漠には文化はないのだろうか、と自問することがあった。この自問自答する彼の姿に、考察者・森本哲郎の本質が見えるように思える。

砂漠とは、こうした反省を私にもたらす世界である。砂漠は現代の文明社会に生きる人々にとって、一種の鏡の国と言ってもいいような気がする。

                        『すばらしき旅』 

砂漠を通して現代を顧みる視点。サハラ砂漠にまでは行けない多くの読者にとって、森本こそが“一種の鏡の国”でもあった。世界がまだ余計な干渉から守られていた時代を旅した人がまた亡くなった。

参照記事:朝日新聞 DIGITAL 評論家の森本哲郎さん死去 88歳

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