【Z級映画】『地球防衛未亡人』レビュー

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日本を代表する〈どこに出しても恥ずかしい〉映画監督、河崎実監督最新作『地球防衛未亡人』のレビューです。今をときめく壇蜜演じるダン隊員を支えるのはダン隊員を演じた森次晃嗣という非常にややこしい豪華俳優陣を従え、巨笑・河崎監督が現代ニッポンが抱える、領土問題と放射能というタブーに果敢に切り込む社会派怪獣映画。原子力村からの圧力だろうか、なぜこれほどの問題作が単館上映なのか理解に苦しみたいところだが、単館でも上映してくれる勇気を持った映画館が存在することを、違った意味で賞賛したくなった。

ストーリー

日本と中国が領有権を争う三角諸島に、ある日突然、宇宙怪獣ベムラスが襲来!!複雑に絡みあう両国の思惑を尻目に、ベムラスは日本本土へ上陸し、原子力発電所を襲撃する。日本存亡の危機を前にして、政府機関の地球防衛軍〈JAP〉所属の女性エースパイロット・ダン隊員(壇蜜)に出撃命令がくだる。操の誓いを立てた婚約者をベムラスにぺちゃんこにされた過去を持つダン隊員は愛機〈JAP野郎壱号〉を巧みに操りながら、ベムラスを追い詰めるも、大事な場面で彼女は突如〈気持ちよく〉なってしまい、コントロールを失い撃墜されてしまう。

その後も原子力発電所に居坐ったベムラスは、驚くことに、格納庫に収められていた使用済み核燃料を食べはじめるという奇跡の行動をとる。日本を、いや世界を危機に陥れると思われたベムラスであったが、一転して世界中の核廃棄物の受け皿となったことで、その所有権を主張する日本に莫大な利益をもたらす結果となったのだ。

一方ダン隊員は、ベムラスを攻撃している最中に〈気持ちよく〉なってしまった原因を探るべく訪れた病院で、医師から信じがたい診断結果を受け取る。驚くなかれ、彼女は〈変態〉だったのだ。

復讐と国益という自己矛盾に加え、新たな自身の〈変態〉性とも向き合わなくてはならなくなったダン隊員は苦悩のどん底を彷徨う。そんな時、核廃棄物を食い漁るベムラスの身に異変が起こる。無限に核燃料を食い漁るベムラスの内部は〈浅田彰〉的クラインの壷のような構造となっており、理由はよく分からないが、かなりヤバいらしい。地球滅亡の危機を前に〈役に立たない〉謎のヒーロー・電エースが現れるもベムラスに瞬殺。

様々な苦悩を抱えながらも、ダン隊員は伝説の救世主となってこの日本を、いや地球を救うことができるのであろうか!

レビュー

ストーリーを書きながら、頭が痛くなった。きっと河崎監督作品を知らない人はストーリーを読んでいるだけでも頭が痛くなるだろう。大丈夫、それは正常の証だ。

さてこの作品について何を語ればいいのか、そもそも私にその資格があるのかすら疑わしいが、まずは〈知ってる人は知ってる〉けど〈知らない人は知らなくてもいい〉映画監督河崎実のフィルモグラフィーを少し紹介しよう。

  • 電エース(1989年)
  • 全裸女料理人VS裸のおんなドラゴン(1995年)
  • いかレスラー(2004年)
  • 日本以外全部沈没(2006年)
  • ギララの逆襲/洞爺湖サミット危機一髪(2008年)
  • 他多数

河崎実監督の名は聞いたことがなくても、『いかレスラー』や『日本なんとか沈没』という映画はうっすらと聞き覚えがあるな、と思った方はどうか気を確かにしてもらいたい。聞いたことがあるのは『えびボクサー』や『日本沈没』であって、それを人はヒアリングミスというのである。もしくは〈芝えび〉と〈バナベイえび〉の関係のように誤表示だと因縁をつけてもいいのかもしれないが、河崎作品と本家作品との関係には濁った悪意はなく、逆に清々しささえ感じるのでそっとしておいてもらいたい。

本題に入ると『地球防衛未亡人』はタイトルこそ奇抜で扇情的であるが、内容は河崎監督が社会派と銘打つように、放射能問題や近隣諸国との軋轢、歴史問題など現代日本が抱え常態化してしまいつつある矛盾や問題を、怪獣という戦後日本的メタファーを通して観客の前に立体的かつ総合的に提示しようとする映画作家としての確固たる意思によって語られる作品では無論なく、あくまで平常運転、すべての観客には「お前っていつになっても変わらないよな」という優しい気持ちで臨むことが否応なく必要とされ、私に至っては記録的な大雪のなか長靴を履いて新宿まで行って公開初日の舞台挨拶付きの回に何の割引もなく2000円を払って見に行っているわけで、ソチ五輪をこたつに入って応援している多くの日本人に背を向けて、この映画を最後までしっかりと見届けた瞬間には「自分で自分を誉めてあげたい」というリメンバー・アトランタ五輪な映画なのです。

当ブログでは時々『【Z級映画】を探して』と題して外国のぼったくり映画を紹介していますが、本作こそがまさにZ級のなかのZ級映画と呼ぶにふさわしく、低迷を続ける日本映画の中で河崎監督こそがほとんど唯一、ハリウッド映画、もといハリウッドZ級映画を圧倒できる希有な人材であること証明する一作だと断言できる。断言できるが、この記事によって生じたいかなる誤謬の責任に関して当方は負いかねることは肝に銘じながら、是非劇場でお楽しみください。

あと、生で観た壇蜜さんは、言わずもがな、大変おきれいでしたが、劇中に何度も大画面にアップされる彼女の〈おへそ〉は一見の価値ありです。

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参照サイト:映画『地球防衛未亡人』公式サイト

▼河崎実監督作品▼

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1 個のコメント

  • 日本以外全部沈没は日本沈没の小松左京の盟友筒井康隆のれっきとしたパロディ小説であり、であるからにはただの遊びを越えた何かを持っている名作なのだ。そして小松左京も笑い転げながらこれを読んで居たら一時的に腰痛が治ったという逸話もあるのだよ。
    Z級ですね。

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