【映画】ダニエル・ラドクリフ主演『もしも君に恋したら。/What If(原題)』レビュー ※ネタバレページあり

ハリー・ポッターのダニエル・ラドクリフ主演の恋愛映画『もしも君に恋したら。/What If』のレビューです。主役級以外の登場人物のキャラもしっかりと立っている、恋愛映画のお手本のような作品でした。特に『スターウォーズ:エピソード7』やスコセッシ監督の『沈黙』にも出演予定の話題の新鋭アダム・ドライバーの存在感が際立ちつつも、主役のダニエル・ラドクリフも冴えない男を好演しており、小粋な恋愛映画としてオススメです。

Whatif main

■ストーリー■ ※ネタバレなし

ウォレス(ダニエル・ラドクリフ)はカナダのトロントで姉一家と一緒に暮らしている。元々は医大生として医者を目指していたものの、同じ学校の恋人が教授と浮気している現場を目の当たりにしてしまい、気まずくなってドロップアウト。それ以来、冴えない日々を送っている。

そんなウォレスを見かねた親友のアラン(アダム・ドライバー)は彼をパーティーに誘い出すも、そんな気になれないウォレスは冷蔵庫の前でひとりマグネットを駆使して言葉遊びをしていた。そして同じくパーティーに参加していたアランの従妹でアニメーターのシャンティー(ゾーイ・カザン)もその言葉遊びに参加したことからふたりに会話が始まる。そしてパーティーからの帰り道、ウォレスは勇気を振り絞って彼女の電話番号を聞き出すも、彼女には一緒にくらす恋人がいることを知り、勝手に落ち込むことになる。

後日、ウォレスは場末の映画館でひとりでいると、そこにシャンティーがいることに気がつくも、敢えて気がついていないふりをする。それでも劇場前でばったり顔を合わせてしまい、その後ふたりで夕食を食べることになる。相手に恋人がいると分かっていても、ふたりの会話が思うように弾んでいき、そのことでウォレスは余計に落ち込む。それでもふたりは友人として関係を築いていく。

ある日、シャンティーはウォレスを自宅の食事に誘う。そこで初めて会うシャンティーの恋人は国連勤務のイケメン。しかしその最中にひょんなことからシャンティーの恋人は窓から外に落下。そのまま病院に担ぎ込まれる。その病院は以前ウォレスが研修していた病院で、たまたま元カノと会ってしまう。浮気をしたことを開き直る元カノだったが、そのことをウォレスから一言も聞いていなかったシャンティーは、彼の優しさに気がつく。

友達としてはじまったウォレスとシャンティーの関係は、何かに導かれるように徐々に変化していく。

■レビュー■

本作の原題『What If』とは受験生にとってやっかいな仮定法表現で、前後の文脈や省略語によって意味ががらりと変わってくる。大体は「〜したらどうなるか?」とか「〜だとしても大したことじゃない」という意味を帯びるが単純に「〜しませんか?」という勧誘の意味もある。本作を見終わって、なかなか洒落たタイトルだな、と思った。

この物語の推進力とはとても単純で、それはダニエル・ラドクリフ演じるウォレスの優柔不断ぶりにある。もう徹頭徹尾うじうじで超攻撃型タイプの親友アランが色々と手助けしてくれているのに、あれこれと自分に言い訳して本当の自分の気持ちと向き合うことを先延ばしにしていく。そうやって観客同様に登場人物にもイライラがラストへ向かって溜め込まれるから、何ともラブコメらしい結末に着地してもイヤな気持ちにならず祝福できる。この点はダニエル・ラドクリフの冴えない演技の賜物だろう。『ハリー・ポッター』の印象を払拭するために色々と難解な役どころに挑んでいる彼だけど、実はこういった等身大の役柄が一番似合っているのかもしれない。

そして脇を固める出演陣も、ウォレスのうじうじとの対比においてそれぞれの個性が違ったものとして発揮されており、物語に上手く溶け込んでいた。相手役のゾーイ・カザンも文化系女子をナチュラルに演じていたし、その妹役のミーガン・パークのパリス・ヒルトン風な雰囲気との対比もよかった。そして『スターウォーズ:エピソード7』への出演が決定している今話題の俳優アダム・ドライバーもガサツなのか気が利くのかよく分からない役柄を上手くこなしている。結局、ラブコメというジャンルはそんなに難しく考えるものではなく、そこに登場する人々にしっかりと血が通っているか、ということに作品の出来不出来がかかっていることがよくわかる。

草食系男子の恋物語ということで『(500)日のサマー』 と比較されるだろうが、演出上のギミックがない分、本作はより落ち着いて観ていられる。また本作に登場する「カリカリ・ベーコンとジャムのピーナッツバター塗りサンド」という何ともおぞましい一品が、物語のラストを上手く演出している。

前述した原題の意味の変移を体現するラドクリフ君の心模様。そして多彩な共演陣の個性。笑い所がしっかりあって、そして最後は上手く全てがまとまるラブコメ映画。最高のデートムービーと言ったところか。

ちなみに相手役のゾーイ・カザンはエリア・カザンのお孫さんです。

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※次のページにストーリー後半のネタバレあり※

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