【東京映画祭】ジョン・ラセターが語る『クール・ジャパン』その一。【青春時代、そして宮崎駿との出会い】

2014年10月24日に東京国際映画祭の特別プログラムとして『ジョン・ラセターが語るクール・ジャパン』と題された講演が行われました。『トイ・ストーリー』や『アナと雪の女王』など様々な大ヒットアニメに関わってきたジョン・ラセターが、日本文化への想い、そして宮崎駿からの影響などを60分に渡って語った内容を数回に分けてお送りします。

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・その一、ジョン・ラセターの青春時代、そして宮崎アニメとの最初の出会いについて。

ーーージョン・ラセター登場と同時に拍手喝采、そして「コンニチワ」と挨拶ーーー

ジョン・ラセター:すごく興奮しています。今回はジブリの鈴木敏夫さんに誘われて「クール・ジャパン」について話しますが、誘われたときはすぐのOKしたんですが、よくよく考えれば何について話せばいいのか少し迷いました。そして話す内容を考えるためにこれまでの日本旅行で撮りためた写真を見返していたら、自分がどれだけ日本から大きな影響を受けていたのか気がつくことにもなりました。特に僕の友人でもある宮崎駿から。

僕の最初の日本体験とは子供の頃に読んだマンガだった。子供の頃は本当にマンガが好きで読むのが止められないくらいだったんだけど、ティーンエイジャーになっても変わらず、みんなが女の子や車に夢中になる頃でも、僕はマンガが好きだったんだ。 そして後になって気がつくことなんだけ、僕のお気に入りのマンガは「マッハGOGO」や「鉄腕アトム」など日本のマンガだったんだ。とにかくクールだった。

僕のアニメーションへの関心は尽きることなく、13歳の頃、学校の図書館でボブ・トーマス著「Art Of Animation」と出会うんだ。そしてマンガやアニメで生活できるということを知ったんだ。それこそが僕の生きる道だと思った。僕の母親は美術の先生で、両親は僕の夢を支えてくれた。そして僕はディズニーで働きたいという思いを強くしたんだ。幸運にも高校を卒業した後、ディズニーが支援していたカリフォルニ芸術大学(通称カルアーツ)に入学することができた。僕はここでたくさんのことを学んだけど、それ以上にここでともに学んだ友人たちが多くを学んだ。

ーーー壇上のスクリーンにカルアーツ時代の仲たちの写真が映されるーーー

ここから文字通り現代を担う優秀なアニメーターたちが巣立っていった。ブラッド・バードやクリス・パック、そしてティム・バートンだって同級生なんだ。そしてそんな我々に共通していたのがディズニーアニメとチャック・ジョーンズ(アメリカの伝説的アニメーター)からの影響だった。

そしてカルアーツ在籍中に僕らは映画史に残る革命的作品と出会うことになる。みんなと連れ立って映画館に観に行ったその作品とは「スターウォーズ」だ。そして強い衝撃を受けた。これほどまでに観客を楽しませてくれた映画はそれまでなかったし、僕もいつかこんな風に観客を楽しませるような映画を作りたいと思ったんだ。そしてアニメもまた同様に子供だけでなく、大人も楽しませることができると確信した。それはディズニーの作品やチャック・ジョーンズにも通じるものだった。

僕は学校を卒業した後、ディズニーに入社することになるが、興味深かったのが、当時のハリウッドのアニメ産業というのはアニメを子供向けとしか考えていなかったということだ。でもそれは映画の本来の姿ではない。アニメのテレビ放送を見ればわかることだけど、子供の見やすいキッズ・アワーと呼ばれる時間にばかり放送している。ケーブルテレビやビデオカセットが普及する前はそこでしかアニメは見れなかった。その状況に僕は失望した。でもそんな時、僕を救ってくれたのは日本のアニメだった。

1981年、日本のアニメプロデューサーの高岡豊氏が日本のアニメーターをつれてディズニーに見学に来たんだ。そこにはあの宮崎駿も含まれていた。そして高岡氏は彼が関わった最新作を僕に見せてくれたんだ。それが宮崎駿監督作『ルパン3世 カリオストロの城』だった。僕はあるシーンに強い衝撃を受けた。それは決して子供だけに向けて作られているものではなかった。そして僕は自分の考えが間違いではなかったことを知り、僕が孤独な存在でもないことを知ることができた。では、一緒にそのシーンを見てみましょう。これが僕が最初に見た宮崎駿作品のシーンです。

ーーー『カリオストロの城』、クラリスとルパンらが出会うカーチェイス・シーンーーーー

やっぱり大きなスクリーンで見ると最高だ。未だにスゴいって感動します。このシークエンスを僕は高岡さんから貰ったVHSで何度も見返して研究しました。そしてフィルムを取り寄せて仲間たちにも見せたんだ。これこそが僕らがやりたいことだと確信していたから。アニメーションを知っている人なら分かることだが、このシーンには余計なものが一切ない。背景もパンをするだけで何度も違った見せ方をするなど効率的で、とにかく賢い作り方だった。このシーンには感動してもう何度見たのかも思い出せないけど、僕が本当にやりたかったことがここにあると思ったんだ。

そしてちょうどその頃、僕はディズニーを離れてルーカスのILMに移ることになるんだ。

ーーーーその一、終わりーーーー

▼続きは下記リンクより▼

関連記事:ジョン・ラセターが語る『クール・ジャパン』その弐。【トイ・ストーリー、そして宮崎駿】

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