50年代SF映画傑作選⑦『宇宙水爆戦』(1955)レビュー

CGとデジタル全盛の今だからこそ押さえておきたいクラシックSF映画を勝手に紹介する50年代SF映画傑作選。今回は1955年公開の『宇宙水爆戦/This Island Earth』のご紹介です。SF映画の醍醐味それは異星人、という当たり前のことを教えてくれる本作。脳みそがシースルーな元祖「サイバイマン」のヴィジュアルを前にすれば、どんな安っぽいストーリーも我慢できる。

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『宇宙水爆戦/This Island Earth』

1955年公開/アメリカ映画

監督:ジョセフ・ニューマン

脚本:フランクリン・コーエン、エドワード・G・オキャラハン

出演:フェイス・ドマーグ、レックス・リーズン、ジェフ・モロー、ラッセル・ジョンソンなど

ストーリー

原子力研究の若手科学者ミーチャム博士は、自分が運転する飛行機が操縦不能になり墜落の危機に瀕した時、突然緑の光に包まれ、勝手に飛行機が無事に着陸するという不思議な経験をする。そして研究所には高度な技術によって作られた謎の機械部品が届けられる。そして宛先不明の書類が届けられ、それに基づいて部品を組み立てていくと一つの通信機器インターロシェターが出来上がった。そのモニターにはエセクターと名乗る謎の男が映し出され、ミーチャムは彼が働く機関に招聘される。

高度な技術に興味を持ったミーチャムは、エセクターの申し出を受け入れ、彼が手配した自動運転飛行機に乗りこむ。そこには女性科学者アダムズ博士の他に世界中の科学者たちが結集していた。しかしミーチャムより先に研究所に招聘されていたアダムズとカールソンはこの研究に疑問を持っており、そこからの脱出を試みるもエセクターらの妨害に遭遇し、カールソンは死んでしまう。生き残ったミーチャムとアダムズだったが、エセクターに捕まってしまう。

そしてエセクターの正体はメタルーナ星人であり、彼らは恐ろしい計画を建てていたのだった。

 

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レビュー

本作『宇宙水爆戦』は一見すると矛盾するようだが、まさに「B級・大作映画」というにふさわしい作品である。壮大なミステリーを匂わせることに物語の大半を費やしながら、終盤に驚愕の事実とヴィジュアルを一気にお披露目するという手法で、はっきり言って前半はかなり退屈だ。それでも本作が50年代のSF映画のなかでも広く長く愛される理由は、終盤に登場する昆虫タイプのミュータントのヴィジュアルにある。脳みそが筒抜けの怪奇なその姿はさすがユニバーサル映画という面持ちだ。これは『マーズアタック』の火星人そっくり。しかもそれが鈍器での「ど突き」で伸ばされるという見掛け倒しと見せかけておいて、案外しつこいというのが愛さずにはいられないのだろう。それ以外でも終盤のメタルーナ星のセットやヴィジュアルも素晴らしい。

50年代SF映画を読み解く時、冷戦期という時代背景や「赤狩り」、原爆への恐れ、そして宇宙への夢という3つの観点から鑑賞すると色々と考えさせられるのだが、本作はさすがユニバーサル映画という感じで、そういった小難しいものはどうでもいいという大きな気概が感じられて素晴らしい。ただしストーリー部分では宇宙人にもいい奴もいれば悪い奴もいて、そして気持ち悪い奴もいるという地球人と変わらないところが描かれているのも評価したい。

実は本作についてはあまり語りたいことがあるわけでもないのだが、それでも古典SF映画としての教科書のような作品だと感じる。まだ宇宙というもののイメージが人間の想像力と手書きの絵によって作られていた時代。科学の説得力よりもそれぞれの想像力と夢によってどこまでもその世界が書き換えられた時代。素直にそれが羨ましく思える。

テクニカラーの美しい色彩も本作のイメージ力を支えている。SF映画というのは深い考察やメタファーがあればいいというのではなく、やはり見る人の想像力をどこまで刺激できるかにかかっているのだとすれば、きっと本作は当時の人々の意識に強く残ったのだろう。そして昆虫型ミュータントの造形は今見ても「ぐっ」とくるものがある。

『マーズアタック』が好きな人は必見の古典的B級SF映画である。

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ということで1955年公開の『宇宙水爆戦/This Island Earth』のレビューでした。実はこの記事を書くにあたり再見したのですが、前半ははやり眠りそうになってしまいました。昆虫ミュータントが登場するのは後半のちょっとだけだと知っていたので、どうしても気が緩んでしまいます。でも初見時はミステリー仕立てで結構楽しんだ記憶があります。そしてこいつ(↑)が出てきた時は「よっ、待ってました!」と膝を叩かずにはいられませんでした。本作は古典SF映画のなかでも知名度はかなり高い一作ですが、そのヴィジュアルだけが語られて本編を観ていない人が多いと聞きますが、十分に楽しめますので是非ご鑑賞ください。

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