金正恩暗殺映画『ザ・インタビュー』レビュー ★★

北朝鮮の金正恩総書記の暗殺シーンを巡って外交問題ともなり、製作元のソニー・ピクチャーズがハッキングされるなど大問題を引き起こしたコメディ『ザ・インタビュー/The Interview』のレビューです。セス・ローゲンとジェームズ・フランコ共演作ということでただのバカ映画であることは明白ながら、なぜこんな事態になったのか?日本公開はもちろん未定。

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『ザ・インタビュー/The Interview』

全米公開2014年12月25日/日本公開未定/アメリカ映画/112分

監督:エヴァン・ゴールドバーグ、セス・ローゲン

脚本:ダン・スターリング

原案:セス・ローゲン、エヴァン・ゴールドバーグ、ダン・スターリング

出演:セス・ローゲン、ジェームズ・フランコ、ランドール・パーク他

あらすじ

司会者デイブ(ジェームズ・フランコ)とプロデューサーのアーロン(セス・ローゲン)による下世話なトーク番組『スカイラーク・トゥナイト』は、エミネムが実はゲイだったり、ロブ・ロウのかつら疑惑を番組で扱い、人気を博していた。

一方でプロデューサーのアーロンはジャーナリスティックな番組への憧れもあり、その人気を素直に喜べなかった。

そんなある日、北朝鮮の若き総書記金正恩が、『スカイラーク・デイブ』のファンであることが伝えられ、二人は独占インタビューを試みると、北朝鮮側はその提案を受けいれたのだった。

しかし有頂天になる二人の前に、セクシーな美女が現れる。彼女はCIAのエージェントで、二人に金正恩暗殺を持ちかけてきたのだった。彼女がセクシーだったためにその提案を快諾したデイブ。

そこから二人のアメリカ人による、北朝鮮総書記暗殺計画が実行に移されるのだった。

※ネタバレのストーリー紹介は次のページで※

レビュー

世界とは、基本的に、バカなのだ:

本作は金正恩総書記が暗殺される映画として北朝鮮側から強い抗議の意が示され、やがては製作元のソニーへのハッキングや、公開中止騒動からの言論の自由を巡る論争まで、とにかく話題づくめの一作だった。アメリカ合衆国大統領がわざわざコメントを発表したり、ソニーの幹部たちはハッキングのせいで私信メールがばらされ、とんだ人種差別主義者だったことも明らかにされた。たった一作の映画から、こんな大騒動に発展するなんてきっと誰も想像していなかっただろう。少なくともこの映画の製作に関わった人々にとって、こんな映画が論争を呼ぶなんて悪い冗談にしか聞こえなかったのではないだろうか。

本作『ザ・インタビュー』は公開前の大騒動とは大いに反比例し、全くもってどうでもいいバカコメディであった。ただのバカコメディではなく、セス・ローゲンとエヴァン・ゴールドバーグ作品の常でもある下品で、過激で、不謹慎なバカコメディ映画である。一応はアメリカの外交姿勢や北朝鮮の内情を風刺しようとしているようだが、それはあくまでポーズで、実際にこの映画に関わった人々は、飛び抜けたバカがやりたかっただけに過ぎない。それ以上でもそれ以下でもなく、ただバカがやりたかったのだ。そのためにはアメリカから遠くてよく分からない「北朝鮮」を舞台にするのがちょうどよかった、という具合だろう。

本作はセス・ローゲン関連作品にあってもかなり下ネタがヒドい。これに関してがジョークの面白さとははどうでもよくて、ただ過激な下ネタ競争と化していて、特に北朝鮮の女性宣伝官に「cameltoe」云々のジョークを言わせるのはかなり際どい(気になる方は「cameltoe slang」で検索してください)。完全に男性の観客のみに向けたジョーク(=作品)であって、言論の自由保障の前に自己修正すべき点がいくつもあるように思えるのだ。

しかし金正恩総書記の描き方は全然悪くない。アメリカンポップスが好きで、カクテルを好み、自分がゲイであると思われることに敏感な、スポイルされた青年像をうまく作り出していた。そしてその北朝鮮のお坊っちゃまとアメリカのバカな司会者とが、どこかで通底していることを表現していたのもいい。きっとこのあたりの描写でもって「風刺的」で「喜劇的」と本作を称させようとしているのだろうが、そんなことも霞むほどに後半は一気にヒドくなる。もちろんここでの「ヒドさ」には笑いも含まれるし、唖然も含まれるのかもしれない。

とにかく中身なんてものはない映画で、一度観ればその瞬間には全て忘れそうな内容である。こんな映画に国を挙げて抗議する北朝鮮もバカだし、こんな映画を必死で守ろうとするアメリカもバカだし、こんな映画で権利や自由の重要性を語ろうとするセス・ローゲンがもちろんバカだし、こんな映画のために役員の進退にまで発展し何本もの公開前映画を流出させられたソニーもバカだ。この騒動からわかるように、そう、世界は基本的なバカなのだ。もちろんこの映画を観て一ミリも笑わないという人もいるだろう。でもたとえあなたがこの映画を観て笑わずにいたところで、世界がバカだという事実は変えられない。

ちなみに本編には北朝鮮が核実験に使う金があるなら飢えた人民に分け与えよと諭すシーンがある。これがなかなか強烈な暗喩になっており、本作の制作費はコメディ映画としては破格の約50億円。こんなただバカに徹する映画を作るくらいならもっと有益な金を使いかたがあることは明白だろうに、という自己ツッコミへと至るほどにただバカな映画。

また僕は本作鑑賞中に数え切れないほどの小笑いとともに3回ほど爆笑しました。はい、バカですみません。

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ということで『ザ・インタビュー』のレビューでした。まあ、下ネタ満載で人を殺しまくりのバカ映画です。ただそれだけの内容なので、いちいち論評したり、はたまた論争したりするような映画ではありませんでした。ただバカになりたい時に観る分にはなかなか笑えます。

※次のページにネタバレのストーリー紹介※

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