映画レビュー|『サバイバー』-ドジすぎる暗殺者とミラジョボ

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ミラ・ジョボビッチ主演の『サバイバー/Survivor』のレビューです。ロンドンの大使館に赴任した国務省職員のミラが、突然発生した爆弾テロの犯人に仕立て上げられ、挙句にはピアース・ブロスナン演じる殺し屋にまで狙われ、逃亡しながらニューヨークでのテロ計画を防ごうとするアクション。監督は『Vフォー・ヴェンデッタ』のジェームズ・マクティーグ。

『サバイバー/SURVIVOR』

全米公開2015年5月29日/日本公開 2015年10月17日/アメリカ映画/96分

監督:ジェームズ・マクティーグ

脚本:フィリップ・シェルビー

出演:ミラ・ジョボビッチ、ピアース・ブロスナン、ディラン・マクダーモット、ロバート・フォスター他

あらすじ(ネタバレなし)

ケイト・アボット(ミラ・ジョボビッチ)はイギリスの大使館に派遣された優秀な国務省職員。9.11で友人を亡くしたことでテロへの警戒心は人一倍強く、ロンドンでもビザの発給に目を光らせていた。

しかし、ある日、ルーマニア人の技術者へのビザ発給をめぐる同僚と対立する。ロンドンの大使館で何かが起きていると睨んだ彼女は一人で調査を開始する。そんな時、同僚と昼食を共にしようとレストランに向かったケイトは、たまたま自分が席を外している時に爆弾テロに遭遇し、同僚たちを失い。しかも直後、謎の男(ピアース・ブロスナン)に命を狙われる。

何とかその場を凌いだケイトだったが、自分がそのテロの犯人に仕立てられていることを知り、逃亡する。なぞの暗殺者だけでなく本国の捜査官や地元警察からも追われる中、ケイトは唯一孤立無援のサバイバルに突入している。

そしてその背後にはニューヨークでの大規模なテロの存在を知った彼女は、逃亡しながら新たなテロの脅威とも戦うのだった。

レビュー

馬鹿げた脚本と、ドジな暗殺者による8%映画:

最近その評価点の在り方に首をひねることも多い「腐ったトマト/Rotten Tomato」で堂々の8%という数字を残している本作『サバイバー/Survivor』は、アメリカ人の心の奥に深く刻み込まれた9.11をめぐるトラウマを、馬鹿げたプロットと人物設定で映像化した、ノンストップアクション映画だった。

主人公ケイトは優秀な職員であり、9.11で友人たちを亡くした経験を持っている。彼女は母国アメリカを守るためロンドンでのビザ発給業務に厳しく取り組むも、同僚の男性は業務時間短縮を言い訳にしてケイトの厳しい審査を非難する。そして本国の捜査官(国務省所属?)までもがケイトの業務態度を非難する始末。おいおい、である。もともと厳しいアメリカのビザ発給は9.11以降さらに厳しくなっており、空港でのセキュリティと並んで一般の旅行者などから壮大な顰蹙を買うも、「おらが国を守るため」と平気な顔しているのがアメリカである。きっと業務携わる職員は、「もし自分がテロリストを見抜けず本国でテロが起きたなら」という事態を最も恐れているわけで、ISISの台頭が騒がれる現在ではさらに厳しくなっているのはバカでもわかる。

しかも事件の発端はロンドンの大使館職員を狙ったテロなわけで、本来ならアメリカ本国のあらゆる出入り口を最高の警戒レベルで監視されるはずなのに、ここもユルい。確かにそれぞれのプロットを見ればこの手のジャンルの映画での現実感では決して荒唐無稽とも言えないものなのだが、そのプロットを繋ぐ部分がことごとくユルい。全部ユルユルなのだ。

そのユルさの象徴はピアース・ブロスナン演じる昼は時計職人、夜は凄腕の殺し屋だろう。世界中で暗躍する謎の殺し屋という設定なのだが、こいつがドジを踏みまくる。物語世界では、事件の重大さを強調するため彼を「凄腕」と設定するのだが、物語上のプロットで彼がその「凄腕」ぶりを遺憾なく発揮されては主人公が速攻で殺されるてジ・エンドとなるため、大事なところで、ことごとくドジを踏まされる。それでも「凄腕」だから「ごめんなさい」とは謝らないし、強気に主人公を追跡するのだが、どう見てもツッコミ待ちをしているようにしか思えない。いやいや、事態がこんがらがっているのは、お前がさっさと標的を殺していないからだし。それでも彼は伝説級の「凄腕」を演じ続けなければならない。元007の扱いとしてはちょっとヒドすぎやしないか。

またロンドンの監視社会を逆手に取ったプロットはもう飽き飽きだ。監視カメラでの追跡劇とか見飽きた。現実感よりも手抜きとしか思えない

ノンストップアクションということで細部のプロットには目を瞑っても、それらを繋ぐ部分がこうもいい加減では確かに8%という辛辣な数字も仕方ないと思える。しかしそれでも見所がないわけではない。爆弾を使った部分のシーンは見応えがあるし、現代版『逃亡者』としては、アメリカ人の持つテロへの恐怖心の描き方もまずまずと評価できる。そしてミラ・ジョボビッチも最初はあたふた逃げ回るだけなのだが、途中から人格が変わったように強気な態度に打って出るのも、9.11のトラウマ描写が布石となっており、強い違和感は感じない。

8%という数字はちょっと厳しすぎるように思うので、本サイトでは15%ほどに評価し、四捨五入してギリギリの二つ星を贈呈したい。

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ということでミラ・ジョボビッチ主演『サバイバー/SURVIVOR』のレビューでした。プロットはヒドいですが、90分少しのノンストップアクション映画としては、及第点は上げられないにせよ、そこそこ楽しめる映画だと思います。特にピアース・ブロスナンの最後はちょっとかわいそう過ぎます。そして最後のミラ・ジョボビッチの捨て台詞は一見の価値有りか?製作が『ホワイトハウス・ダウン』や『エクスペンダブルズ』のミレニアムということでその手の映画ファンにはおすすめできる大味映画だと思います。以上。

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