【映画】『スノーピアサー/Snowpiercer』レビュー 

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『殺人の追憶』、『グエムル』のポン・ジュノ監督とソン・ガンホ出演による、本国韓国では大ヒットの英語作品。ハリウッドにも続々と進出している韓国映画がハリウッドの一線級俳優を擁し、フランスのグラフィック・ノベルの原作にして満を持して送り込んだ本作。それは世紀末的『燃えよドラゴン』でした。日本公開は2014年2月7日。

ストーリー:2031年、地球温暖化を食い止めるために散布された化学物質が異常反応したせいで、地球は人が住めないほどの寒冷化が進行、氷と雪に覆われる世界に変わっていた。僅かに生き残った人類は、ノンストップで世界を走り続ける永久機関を積んだ列車のなかで、完全に階級化された社会を形成していた。
 その列車の最後尾、奴隷として生活するカーティスは暴力の支配に立ち向かうべく、反乱の時を伺う。それでも奴隷たちの子供らは奪われ、反抗的な態度を取ったものたちは、その腕を凍らされ切断を余儀なくされるなど厳しい環境はなかなか変わらない。それでも隙を狙うカーティスたちは、この列車のエンジニアだったミンス(ソン・ガンホ)とその娘の協力を頼りにして、とうとう反乱を開始する。
 目指す先頭に位置するエンジンルーム。そこに至るまでにはいくつもの障害を越えなければならなかった。

レビュー: 『グエムル』でアジア的傑作怪獣映画を作ったポン・ジュノ監督の最新作は、様々な比喩が詰まったファミコン的な近未来暴動映画だった。凍えた世界をひた走る列車が舞台ということで、スチームパンクな描写が延々と続く。これが好きな人にはたまらないだろう。
 物語の大半は、人権や民主主義がお笑いになった近未来の、完全に階級化された、列車内、で進んでいく。何とも分かりやすい比喩の連続だ。この映画を語ろうとすると、こういった比喩について考えたくなるのも仕方ないが、なるべく難しく考えないことが、この映画を楽しむ秘訣のように思う。そもそもどれほど難しく考えようとしたところで、最初のボスキャラのメイソン役を演じるティルダ・スィントンの登場できっとすべてが吹き飛ぶ。彼女の演技というか存在感は、主人公がキャプテンアメリカなのに全然個性が光らないのとは対照的に、圧倒される。きっと好き嫌いがはっきりと分かれる本作のなかでも、彼女だけで一見の価値はあると思う。物語が内向的になろうとするときに必ず彼女は登場するのは、なんともポン・ジュノらしい演出だ。
 また各ステージにボスキャラを配置し、それを犠牲を払いながらも倒していく快感はファミコン的でもあるし、『燃えよドラゴン』にも通じるものがあるし、何より奴隷たちの大復習映画ということで『グラディエーター』も思い起こさせる。
 ただ本作は ポン・ジュノのハリウッド進出映画ということで、視覚的な豪華さを期待したくなるところだが、その点は注意が必要。物語のエンディングを除いてずっと列車内の続くため、どうしても絵に広がりがなく単調になってしまう。アクションシーンやグロテスクなセンスはさすがだが、物語の前半部で明かされる食べ物に関する描写がその点のクライマックスだった。また配役に関してもティルダ・スィントンの驚きに反して、これまでも神に準ずる視点に立つ役柄を何度も演じてきているエド・ハリスが物語の核心を語る役なのはいただけない。
 ポン・ジュノの才能は決してハリウッド的ではないのかもしれない。個人的には『グエムル』を超えるような傑作ではなかった。それでもポン・ジュノという映画監督が替えのきかない存在だということもわかった。ソン・ガンホの存在や、物語内のドラッグ描写など、無理に押し込んだ印象を受けるものをあるが、それでも全体としてしっかりと物語を成立させるあたりはさすがである。
 そして何より、この映画は禁煙者は注意するように。今の時代にあってこれほどタバコが上手そうな映画もない。

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 またトレーラーとは別に物語の世界観を説明したアニメーションも公開されていますので予習にはいいでしょう。

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