『バトルヒート』レビュー ★★★

NewImageドルフ・ラングレンとトニー・ジャーが共演したアクション・スリラー『バトルヒート/Skin Trade』のレビューです。人身売買を行う組織に家族を殺された復讐の鬼と化したドルフ・ラングレンと彼を追うトニー・ジャー。家族を殺された男と、友人でもある同僚を殺された男が、巨大犯罪組織に立ち向かう社会派ハードアクション映画。悲しみを背負った男の姿をドルフ・ラングレンが熱演。日本公開は2015年7月25日。

『バトルヒート/Skin Trade』

2015年公開/日本公開2015年7月25日/カナダ・タイ映画/95分

監督:エカチャイ・ウアクロンタム

脚本:ドルフ・ラングレン、ガブリエル・ドウリック、スティーブン・エルダー、ジョン・ハイアムズ(ノンクレジット)

出演:ドルフ・ラングレン、トニー・ジャー、ロン・パールマン、マイケル・ジェイ・ホワイトなど

あらすじ

東南アジアでの心身売買に関わる犯罪組織のボスであるドラゴビッチ(ロン・パールマン)を追っていたニュージャージーの刑事ニック(ドルフ・ラングレン)は、組織の取引を急襲し、ドラゴビッチを逮捕し彼の息子を射殺する。しかしロシア政府と強いパイプを持っていたドラゴビッチは釈放されてしまい、報復としてニックの妻と娘は殺され、ニック自身も重傷を負うことになる。

一方、タイでは捜査官のトニー(トニー・ジャー)が人身売買組織の撲滅に向けて潜入を続けていた。

意識を回復したニックは、復讐の鬼と化す。ドラゴビッチの関係先を襲い、一人残らず殺していった。そして奴がタイにいることを知ったニックは家族の復讐のために単身で乗り込む。

しかしタイではニュージャージーから派遣された刑事(マイケル・ジェイ・ホワイト)とトニーらタイの捜査官が、心身に異常をきたしたとみなされたニックを逮捕すべく待ち構えていた。

共に人身売買で苦しみ女性を救いたいと強く願うニックとトニーはそれぞれの思惑から対立するも、やがて敵の真の姿を知り、ふたりは闇の組織との戦いへと向かっていくのだった。

レビュー

『96時間』にはない泥臭さと痛みのハードアクション:

リリース情報によれば、本作『バトルヒート/Skin Trade』は香港を除いたアジア地域で作られたなかでは、初めての英語で作られた国際市場をメインターゲットとする映画だという。監督は過去にトランスジェンダーのムエタイ選手の伝記映画や、性産業の女性を描いた作品を監督しているタイのエカチャイ・ウアクロンタム。そして主演には説明不要のエクスペンダブル、ドルフ・ラングレン。そして『ワイルド・スピード SKY MISSION』にも出演したタイのアクションスター、トニー・ジャー。 脇を固めるのは、マイケル・J・ホワイトや、ロイ・ホラン(!)を父に持つセリーナ・ジェードなど国際色が豊か。

あらすじを読む分にはストーリーそのものはなんてことがないように思える。家族が人身売買の犠牲になり、法を無視してでも復讐に燃える父親の物語。リーアム・ニーソンの『96時間』とほとんど同じだ。しかしこの映画には『96時間』に明らかに欠けていたものがしっかりと描かれている。それは人身売買という悪夢には終わりがないということ。自分の娘を救えばそれで幕が閉じられるハリウッド視点の作品ではなく、本作には人身売買の当事国であるタイからの視点、つまり誰かを救ってもまだ救わなければならない女性や子供がいるという現実を描いていることだ。

ストーリーが至ってシンプルであることは間違いないし、捻りもかなりいい加減だ。特に配役に関しては、この手の映画が好きな人にとって、ドルフ・ラングレンの同僚にマイケル・J・ホワイトが出演してくれば、かならず一悶着起きることくらい最初から分かってしまう。またアクションの見せ方も上手くない。トニー・ジャーの最大の魅力とは縦、横、高さに加えて斜めにも入る多次元のアクロバティックで力強いアクションなのに、それが全く生かされていない。戦闘シーンでも常に正面向き合いのスタイルで、空間の広さを演出できていない。

それでも本作は、ドルフ・ラングレンの存在によって多くを救われる結果になっている。リーアム・ニーソンと違ってドリフ・ラングレンは不完全だ。妻は目の前で殺されてしまう。体は大きすぎて走るのも遅い。顔の半分は火傷でただれて、銃撃戦になれば何発も撃ち込まれる。それでもドルフ・ラングレンは立ち上がるのだ。計画もなければ、緻密な判断力もない。あるのは燃えるような復讐心だけ。これがとにかく泣かせるのだ。そして最後、彼が新たな目的のために一人旅立っていく姿。そこで本作の物語と人身売買という悪夢とがしっかりと結びつく。もう一度言うが、泣かせるのだ。

人身売買とは東南アジアのなかでもとりわけタイの微笑みに隠された恥部であるが、その現実を描きつつ世界に打って出た心意気も評価したい。『エクスペンダブルズ』では描ききれない、ドルフ・ラングレンの泥臭さと洗練とは無縁のハードアクションは必見。

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ということで『バトルヒート/Skin Trade』のレビューでした。ネタバレは今回はなしです。ストーリーは単純に見えて、視点が別れたりするので文字にすると長くなりそうで止めました。東南アジアの人身売買という暗闇を描きながら、トニー・ジャーやドルフ・ラングレンのアクションも見応えあり。でもトニー・ジャーのアクションの見せ方はちょっと残念でした。それでも見応え十分の本作、日本公開は未定ですが機会があればお見逃しなく。ドルフ・ラングレンファンは男泣き必至です。ちなみにタイトルの『スキン・トレード/Skin Trade』とは性産業のために女性たちが売買されることを意味しています。

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