『X-ファイル 2016』第4話レビュー(ネタバレあり)「バンドエイド・ノーズ・マン」

『X-ファイル』新シリーズ第4話のレビューです。前話の傑作コメディエピソードからがらりと変わり、人間離れした殺人事件の謎を追う家庭で明らかになるスカリーとモルダーの息子に関する真相と、過去のカルト回「ホーム」を連想させる家族の苦悩を描いた描かれるシリアスな一作。

X files fox 1

『X-ファイル 2016』エピソード4 「バンドエイド・ノーズ・マン/Home Again」

全米放映2016年2月8日/日本放映2016年夏/オカルト/44分

監督:グレン・モーガン

脚本:グレン・モーガン

出演:デイヴィッド・ドゥカヴニー、ジリアン・アンダーソン、ミッチ・ピレッジ、ほか


レビュー

『X-ファイル』の歴史のなかでもその内容の過激さと異色さからカルト的な存在となっているのがシーズン4の第2話で全体を通しての75話に相当する「ホーム/HOME」というエピソードだ。脚本を担当したのは後に『DRAGONBALL EVOLUTION』を監督するジェームズ・ウォンと、グレン・モーガン。そして復活した『X-ファイル』新シリーズ第4話の監督・脚本を務めるのがそのグレン・モーガンで、タイトルは「Home Again」となれば当然期待せずにはいられない。

シーズン4で放送された「ホーム/HOME」とは『X-ファイル』のエピソードのなかで初めて視聴者に過激描写の警告が行われた作品として知られている。アメリカの片田舎で発見された赤ん坊の死体に関する調査は、外部と断絶した生活を送る一家による近親相姦の結果としての殺人鬼へと至っていく内容で、UFOも超能力も登場しない。そしてまるでスラッシャーホラーのような残酷描写がテレビドラマとしては異例であり、事実このエピソードは長く再放送も見合わされていた。またこのエピソードが後に注目される理由とは劇中で交わされるセリフにスカリーの将来を予見するような内容が含まれていたためだ。それはスカリーの子供についてであり、彼女の母性についてだ。

今回の新シリーズ第2話でジェームズ・ウォンが監督・脚本を務めた「Founder’s Mutation」でもスカリーの子供ウィリアムに関するプロットが登場するが、今回の「バンドエイド・ノーズ・マン/Home Again」ではその真相を含めた彼女の親族との関係(ホーム)がクローズアップされている。

フィラデルフィア郊外で殺人事件が起きた。ホームレスたちが路上で暮らす一帯の役所で、被害者は人ならざる強力な力で惨殺されていた。モルダーとスカリーが派遣され調査を開始するも、その時スカリーの母が危篤状態になったという知らせが入り彼女が現場から離れる。病院に着いたスカリーは看護師から意識を失う前の母がスカリーの弟チャーリーと話をしたがっていたことを聞かされる。

殺人事件の現場ではモルダーが事件発生当時に近くのビルの壁にグラフィックアートが書かれていたことに気がつき、その作者を探しているとホームレスの証言から「鼻にバンドエイドをした男」が浮上する。そして現場近くに残されていたバンドエイドからDNA検査をするもそこには何もなかった。それが生きているのか、死んでいるのか、それさえもわからないほどにDNAには何もなかった。

またしても殺人事件が発生する。まるでグラフィックアートから男が抜け出し犯行に及んだような不可思議な事件だった。

X files homeagain mulderscully2

<ここからエピソードのネタバレ部分>

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

殺人犯の正体とは町から追い出されようとするホームレスたちの怨念を、ひとりのアーティストが絵に描き、それがチベット仏教的な回路を通って怪物を作り出した結果であることが判明する。

その事実に行くつく過程で、スカリーの過去がフラッシュバックする。それはモルダーとの間に生まれた子供ウィリアムを養子に出さざるを得なかった過去の苦しみであった。怪物を生み出したアーティストに、怪物であっても生み出した責任があるはずだとつぶやくスカリーの脳裏には、息子ウィリアムへの想いが込められていた。

そして病床の母が自分ではなく末の息子の声を聞きたがったことが意味するのは、自分の息子ウィリアムの無事を確認することに他ならないことにスカリーは気がつき、このエピソードの幕は閉じる。

X files homeagain mulderscully

劇中でモルダーが「あの頃に戻るなら今だ」というシーンがあるが、その言葉はまさにこのエピソードを象徴すると同時に12年ぶりに復活した新シリーズのテーマとも言える。コメディだった第3話から打って変わり、この第4話ではモルダーとスカリーの過去、つまり一度は閉じられた『X-ファイル』のページを再び開ける内容となっており、これまで以上に過去作との関連を深く印象付けるエピソードとなっていた。決して一見さんにも優しい内容ではなく、少なくともスカリーとモルダーの過去、そしてスカリーと母親の関係などは理解しておきたい。

一方でスカリーとモルダーの子供ウィリアムが里子に出されていたことと、母親としてのスカリーの苦悩がこの新シリーズの重要なプロットなることもはっきりとした。仕事の危険性から息子に害が及ぶことを懸念し愛する我が子を里子に出したスカリーの苦しみが第4話の暗いトーンを決定している。

それでも独立したエピソードとしては肝心の殺人事件の展開が物足りなく、スカリーの苦悩との関連も強引過ぎるように感じた。前話のストーリーテリングの巧みさから比べると明らかに質が落ちている。

全6話の新シリーズも残り2話となり、ここからは第1話の流れを組む本筋のラインへと合流することになるだろう。色々と不安もあった新シリーズだが、十分に期待に答える出来栄えとなっているので期待したい。

『X-ファイル 2016』エピソード4 「バンドエイド・ノーズ・マン」:

▶︎X-ファイル 2016 (字幕版) [AMAZON ビデオ]

▶︎『X-ファイル 2016』全話レビュー

<スポンサーリンク>

Summary
Review Date
Reviewed Item
『X-ファイル 2016』エピソード4 「バンドエイド・ノーズ・マン」
Author Rating
3
x-files-fox-1.jpg
おすすめ記事!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です