映画(パロディ)レビュー|『ドナルド・トランプのThe Art of the Deal:Movie』ジョニー・デップ主演

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大統領選で奮闘中の大富豪ドナルド・トランプをジョニー・デップが演じる伝記(パロディ)映画『Donald Trump’s The Art of the Deal: The Movie』のレビューです。これだからどうしてもジョニー・デップを嫌いになれないんです。

『Donald Trump’s The Art of the Deal: The Movie』

全米公開2016年2月10日/伝記(パロディ)/51分

監督:ジェレミー・コナー

脚本:ジョー・ランダッゾ

出演:ジョニー・デップ、ロン・ハワード、ミカエラ・ワトキンス、ジェイソン・マンツォーカス、ほか

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レビュー

2016年2月中旬現在、大統領選の共和党指名候補者争いでドナルド・トランプは奮闘している。過激な物言いで、白黒の判断を好む(複雑な議論には関心を示さない)低所得者層を中心に圧倒的な人気を誇り、長い間忘れ去られている「強いアメリカ」復活の必要性を自身の強烈(オゲレツ)な個性に重ね、このまま行けば共和党の候補指名を獲得することも現実味を帯びてきている。

そんななか一本の映画がインターネット上に無料公開された。タイトルは『Donald Trump’s The Art of the Deal: The Movie』、訳すと「ドナルド・トランプの取引のコツ」となりトランプが1987年に出版した同名の自伝をテレビ映画化したもの、という設定になっている。

映画の冒頭に登場するのは映画監督のロン・ハワードだ。今から30年ほど前に製作されるもフットボールの放送を重なりお蔵入りになった幻のドナルド・トランプ主演・脚本・監督・撮影・美術etcのテープが2016年の大統領選で盛り上がる今になって「偶然」発見されたというのだ。なるほど一時期ホラー界隈で流行った「ファウンド・フッテージもの」というやつだ。そんな訳でみんなで見てみようということになる。

30年前のテレビ映画らしく古臭いテロップと映像だが、登場したドナルド・トランプ(ジョニー・デップ)は40歳前というのに、若干頭髪が怪しい。オバマ大統領に出生詐称や経歴詐称の因縁をつけたトランプらしく、ここでは平等に自分の頭髪詐称疑惑を匂わしているのだろう。

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まず自伝の映像化ということでドラマの作りがなかなか凝っている。ドナルド・トランプのファンだというメキシコ系少年は警備員の隙を盗んでトランプのオフィスに入ってくる。聖書の次に世界中で売れたというトランプの自伝を持った少年を迎え入れたトランプは、自分の半生を語りはじめる。と言っても彼の半生とはインドの「タージ・マハルが欲しい」という一言で要約できてしまうので楽だ。本当は本物のタージ・マハルが欲しいのだけど、ちょっと無理そうなので「タージ・マハル・カジノ」を買おうとする大富豪トランプは所有者からあっけなく断れてしまう。憂さ晴らしに「この ユダ公め、カマ掘ってやる!くそったれ」と抗議しつつも、その夢を諦めないトランプのひたむきさが胸をうつ。

そしてその後、トランプは少年に夢を諦めないことを重要さを実体験をもとに説明しようとするのだが、その少年がメキシコ系だということがわかると、移民嫌いの彼はドラマの途中なのにアジア系少年に取り替えてしまう。

それから延々とトランプの夢へのまっすぐな情熱が語られる。不本意にも裁判を起こされれば、弁護士には人権無視の赤狩りの急先鋒として多くのハリウッド関係者を追放してきた自称民主党員で中身は共和党支持者、そして同性愛者を迫害し続けるも自分もゲイでエイズで死んだ悪名高きロイ・コーンを雇ったり、パリスでおなじみのヒルトン家からカジノを買い取ったりした過去を面白おかしく語ってくれる。

また途中で話を聞いていたアジア系の少年を韓国系だと思っていたら、実はトランプが大嫌いな日本人だと分かり、仕方なくアフリカ系の少年に取り替えられたりするハプニングにも事欠かない。

そして最終的には望み通り「タージ・マハル・カジノ」を買い取って「トランプ・タージ・マハル」と改名するのだが、もちろんイスラム嫌いで有名なトランプは本家のタージ・マハルがインド・イスラム建築の代表作なんて事は知らない。というかトランプは「市民ケーン」さえも知らない無邪気な男なのだ。

こうしてドラマはハッピーエンドとなるのか、と思いきや時空が突然歪みだす。そして現れたのは2016年からタイプスリップしてきたのは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のブラウン博士ことドクだった。そういえば『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の悪役ビフ・タネンのモデルはドナルド・トランプだったね。そんなわけでドクはトランプが大統領になるのを阻止するため時空を超えて来たのだったが、そこに2016年からやってきた大統領ドナルド・トランプがドクの阻止を阻止しようとやってくる。ドクは時空に消えてしまい、2016年の大統領トランプは1986年のトランプに将来を確約してから去っていく。

最後に40歳を迎えたトランプが少年と一緒にバースデイケーキのろうそくの火を吹き消そうとした瞬間に、トランプと少年の中身が入れ替わる衝撃の『転校生』オチで終わっていく。

そして映像を最後まで見届けたロン・ハワードは「なんてクソみたいな作品なんだ。こんなドラマを見た事さっさと忘れようぜ。というかドナルド・トランプそのものを忘れてしまえ」と怒りながらテープに火をつけ、バッドエンド!

Donald trump art of a deal review

という何とも心温まる映画(パロディ)だった。この映画は「FUNNY or DIE」というネットのコメディチャンネルが製作したもので、ジョニー・デップは出演を快く受け入れたった4日間ほどの撮影で完成させたらしい。50分ほどのテレビ(パロディ)映画だが、何度も大笑いさせてもらった。こんなアホにアメリカ大統領を任せるとか本気で勘弁してくれよ、というまともなアメリカ人の本音がよくわかり、海を超えて同情したくなる。またこの作品のなかでもはっきりと言及されているけど、トランプは日本嫌いを公言しており、こればかりは日本人であったことを誇らしく思わずにはいられない。こんなアホに好かれるとかそれこそ国辱だろうに。

またこのドラマの製作にはVFX老舗インダストリアル・ライト&マジック(ILM)も関わっているのだが「CGなんてどこにもなかったぞ」と思っていると「バーチャル・ヘア・エフェクト」という大切な仕事があったことがエンドクレジットで明かされ最高だった。

日本でもアホな政治家にはほとほとうんざりしている次第だが、アメリカはさすがにスケールがデカく笑うしかない。これから本格化する2016 年のアメリカ大統領選は史上最悪のコメディになるかもしれないので、これでも観て予習しておきましょう。下の画像をクリックすれば本編が無料で観られますのでぜひともお試しください。ハンター・トンプソン関連の時も思ったけど主演映画がどれだけつまらなくてもジョニー・デップを嫌いになれないのは、こういう作品に出演してくれるからだ。

『Donald Trump’s The Art of the Deal: The Movie』:判定不能!

2016

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FUNNY or DIE

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