ディズニー映画『ピートと秘密の友達』レビュー

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少年とドラゴンの交流を描いたディズニーのファンタジーアドベンチャー『ピートと秘密の友達』のレビューです。1977年のディズニークラシックを現代のVFXでリメイク。家族と生き別れた少年が森のなかで出会ったのは心優しいドラゴンだった。『ジュラシック・ワールド』のブライス・ダラス・ハワードとロバート・レッドフォード共演作。

『ピートと秘密の友達』

全米公開2016年8月12日/日本公開2016年12月23日/ファンタジー/103分

監督:デヴィッド・ロウリー

脚本:デヴィッド・ロウリー、トビー・ハルブルックス

出演:ブライス・ダラス・ハワード、オークス・フェグリー、ウェス・ベントリー、カール・アーバン、ロバート・レッドフォード

レビュー

まだ言葉もしっかりと話せない頃、ピートは自動車事故で両親を亡くしてしまう。自分だけ助かったピートだったが、そこは深い森のなか。 危険な動物もたくさんいる。車は壊れ、周りに誰もいない状況のなか、何が起きたのかさえも理解していないピートの前に、突然、巨大で緑の不思議な生き物が現れた。それはドラゴンだった。

ピートはそのドラゴンをエリオットと名付ける。ピートとエリオットは親友になり、6年もの間、森のなかで生きてきた。

しかしピートとエリオットが暮らす森にも、森林伐採業者のトラックが頻繁に現れるようになり、とうとうピートは人間に見つかってしまう。そしてエリオットの存在もまた人間に知られようとしていた。

ザ・王道ファミリー映画

本作では孤独な少年と不思議な生き物との交流を通して、自然破壊への警鐘を鳴らしつつ、この世界のどこかにまだ存在していてほしい「白地図」への憧れが濃厚に描かれる。

ファミリー映画の王道を行くような作品で、鑑賞中には多くの類似するテーマの作品が思い浮かんだが、わかりやすく説明すれば『E.T.』と『ジャングル・ブック』を下地に、UMA(未確認動物)を乗っけたような作品だった。

ストーリーの序盤は『ジャングル・ブック』であり途中からは『E.T.』の ポジティヴな要素だけを凝縮したような展開となる。つまり最初から最後まで安心して見ていられる。もちろんハラハラドキドキの展開も用意されているが、常にピートやドラゴンを守ろうとしてくれる大人たちが奮闘してくれ、そして物語上の悪人たちも「連続殺人鬼」や「地球征服を企む謎の組織」などではなく、あくまで一般人。話せばわかりそうな連中なのだ。

それでも本作で驚かされるのは、ドラゴンの描き方だった。『ロード・オブ・ザ・リング』のWETAデジタルが作り出したドラゴンだけに質感に溢れ、爬虫類のような硬質な皮膚を持ったドラゴンではなく、それはまるで森のなかで優しく暮らす未確認動物(UMA)のように描かれる。この緑の心優しいドラゴンの造形は『ネバーエンディング・ストーリー』のファルコンにもどこか似ている。

そして劇中ではもったいぶるようなことはせずに、緑の毛を生やしたドラゴンがあっという間に登場してしまう。まるでドラゴンなんて存在して当たり前という感じに出し惜しみすることなく、ギミックを含めてさっさとスクリーンに現れる。

つまり伝説の動物「ドラゴン」を見つけることを描く映画ではなく、本作の主な視聴者ターゲットである子供たちにはそのドラゴンを当たり前の存在とする少年ピートに感情移入しやすいように作られている。この世界のどこかにドラゴンがいてほしいという子供達の願いに忠実な作品だ。そしてこの子供達の想像力を中心に、登場キャラクターの役割も設定される。

本作で最初にクレジットされるのは『ジュラシック・ワールド』のブライス・ダラス・ハワードで、彼女は自然を守ろうとするレンジャーの役なのだが、ピートが語るドラゴンの存在について当初は懐疑的な立場だった。しかしその立場に関わらず、彼女はピートを守ろうとする。それは子供たちの夢や想像を優しく見守る母親のそれと同じだ。

そしてロバート・レッドフォード演じるブライス・ダラス・ハワードの父親は、かつて森の中でドラゴンを見たことがあり、その経験を町の子供たちに語りかける存在。つまりおじいちゃん。孫と祖父は色々と結託しやすい。

このようにピートに感情移入する子供達をメインターゲットとしながらも、その母親や祖父母の世代までを取り込もうとする意思が登場キャラクターに与えられた役割からも推測される。

まさにファミリーのための映画なのだ。際どいシーンや過激な描写がないという意味よりも、同じ物語をそれぞれの世代に違ったテーマとして受け取れるという意味でのファミリー映画だ。

何かと難しいテーマに挑むことが多くなったディズニーにとっては異例なほどストレートな作品だし、何よりも『セインツ -約束の果て-』という切ない大人向けクライム映画を撮ったデヴィッド・ロウリーが、こんなストレートな物語を撮ることに驚かされる。

きっと大人にもなれば本作のあらすじや予告編を観ただけでエンディングが想像できるだろう。しかし「思った通り」だったということは必ずしも映画の欠点になるわけではない。特にファミリー映画のように幅広い世代を対象とした映画の場合は自ずとエンディングの方向性も決まってくる。重要なことはその分かりきったハッピーエンディングでもしっかりと各世代の感情を揺り動かすことができ、ひとつの家族の物語として完結できるかということ。

その意味でも本作のラストは理想的なファミリー映画のエンディングだった。

『ピートと秘密の友達』:

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