映画『スノーホワイト/氷の王国』レビュー(ネタバレあり)

グリム童話の「白雪姫」を大胆にアレンジして描いたアクションファンタジーの続編『スノーホワイト/氷の王国』のレビューです。前作に登場した邪悪な女王ラヴェンナとその妹で氷の女王となったフレイヤの関係や、クリス・ヘムズワース演じる猟師の過去も描かれる話題作。

The Huntsman

『スノーホワイト/氷の王国』

全米公開2016年4月22日/日本公開2016年5月27日/ファンタジー/113分

監督:セドリック・ニコラス=トロイアン

脚本:クレイグ・メイジン、エヴァン・スピリオトプロス

出演:クリス・ヘムズワース、シャーリーズ・セロン、エミリー・ブラント、ジェシカ・チャステイン、ニック・フロスト、ほか

レビュー

グリム童話の「白雪姫」を大胆にアレンジするという設定にかこつけて、古今東西のファンタジー作品からちゃっかりアイデアを拝借しまくっていた前作『スノーホワイト』からはクリステン・スチュワートとルパート・サンダース監督は降板するも、『スノーホワイト/氷の王国』にはその魂ともいうべきオリジナリティーの無さはしっかりと継承されていた。

物語は前作で滅ぼされた邪悪な女王ラヴェンナ(シャーリーズ・セロン)とその妹のフレイヤが関わる事件から描かれる。王女で嫉妬深いラヴェンナとは反対に愛情に恵まれたフレイヤ(エミリー・ブラント)だったが、ある日、部屋で不審火が発生し愛する我が子を失ってしまう。その悲しみから氷の魔力に目覚めたフレイヤは、ラヴェンナとは離れ、北の大地で自らの王国を築く。そこでは「誰も愛さない」という規律を徹底し、他国を侵略して拉致した子供たちを、冷酷な指導のもとで自らの軍隊として鍛え上げていった。

そのなかに猟師であるエリックも含まれていた。そしてエリックは弓の技術に秀でた女戦士サラ(ジェシカ・チャステイン)と戦士として成長するもふたりは互いに愛し合ってしまう。そのことが氷の女王フレイヤにばれてしまったため、エリックは王国を追放され、サラは殺されてしまった、、、、、

ということで前作で妻を失い酒に溺れているという設定だったエリックとは、この後の状況だったのです。

とまあ、ここまでで全体の三分の一くらいなんですが、すでに眠いです。制作費100億円越えの映画らしく、世界観は大きくてCGもそこそこのクオリティで、小難しいことは忘れてポンポンと次のシーンに移る展開力を発揮してくれるのですが、ストーリーの細部が徹底的に「軽く」て見ていられない。前作の失敗ポイントだった個性の薄い登場人物たちの大渋滞は本作では随分と解消されているのだが、それはただ登場人物が減っただけで、主要キャラクターの個性が全く掘り下げられておらず、特に物語の契機でもありテーマを体現する役割を担っているのエミリー・ブラント演じるフレイヤの内面の葛藤がとにかく薄すぎて、感情移入とか一ミリもできない。

「愛はすべてに勝る」という手垢まみれのテーマながらも、一方では共感も呼びやすいはずなのに、このフレイヤの内面の葛藤が全く描かれていないから、スクリーンからは「愛ってすばらしい」というアホみたいなスローガンしか聞こえてこない。

映像面でも前作から引き続き既視感まみれのシーンが多く、しかも重要な場面ほど『アナと雪の女王』やら『ロード・オブ・ザ・リングス』やら『猿の惑星』やら『ハリー・ポッター』やらシロクマに乗った女王様やら首ちょんぱされた自由の女神やらといった有名映画や有名シーンからの拝借が悪目立ちしている。別にオリジナリティの爆発を期待して本作を鑑賞するわけではないが、それでも有名俳優をこぞって起用し、100億円超の予算が与えられた大作映画なのだから、ひとつくらいは印象に残るシーンを作ってもらいたかったが、そんなもんは皆無だった。

映画の構成としては、序盤には前作との関連が描かれ、中盤にはエリックと仲間たちのツンデレ旅となり、後半はフレイヤとラヴェンナの姉妹ゲンカということなのだが、どれも繋がりが甘く、アクションもヌルく、そして物語のオチも中途半端だった(予告編で言ってない?)。

Dw

<ここから『スノーホワイト/氷の王国』のネタバレとなりますので、ご注意ください>

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邪悪な女王ラヴェンナの死後、安全な場所へ移されようとしてた鏡が何者かに奪われてしまう。国王となったウィリアムはその捜索を猟師であるエリックに依頼するが、その道中、エリックは死んだと思っていた妻のサラと再会する。実はエリックが見たサラの死ぬ姿とはフレイヤの魔術によって生み出された幻想で、逆にサラはエリックに見捨てられたという幻を見せられていた。

長年の別離のためにサラはエリックを簡単に受け入れることができないながらも、鏡を探す旅に同行することになる。そしてゴブリンによって奪われていた鏡を奪還することに成功するのだが、その直後に氷の女王フレイヤがシロクマに乗って現れる。実はサラはフレイヤの部下のままで、鏡を奪うためにエリックに近づいていたのだった。

しかしエリックとの旅を通して昔の愛を思い出していたサラはフレイヤにエリック殺害を命じられても、それに従うふりをしながら生かしておいた。

こうしてフレイヤに奪われた鏡は氷の王国に持ち込まれ、そして彼女の魔力と鏡の力でついに邪悪な女王ラヴェンナが復活してしまう。世界が邪悪な力に支配されるのを防ぐために仲間のドワーフたちと氷の王国に舞い戻ったエリックだったが、復活したラヴェンナに捕まってしまう。エリックを助けようとしたサラも鎖に繋がれ処刑されようとしたその時、エリックやサラと同じように少年兵として氷の王国に支配されていた兵士たちが女王に反旗をひるがえす。そして同じ時に鏡の力でフレイヤは不審火で死んだ娘が実はラヴェンナに殺されていたことを知る。鏡の予言によってフレイヤの娘が自分よりも美しくなることを知ったラヴェンナが殺したのだった。

激昂したフレイヤはラヴェンナに襲いかかり、エリックらもそれに加勢。そしてフレイヤの身を呈した反撃によってラヴェンナを倒すことに成功した。

こうしてフレイヤとラヴェンナはともに倒れ、氷の王国に囚われていた少年たちも開放され、これまでのように「誰かを愛すること」を禁止されることもなくなったのでした。

ということで中身は薄い映画ですが前作にも登場したニック・フロストとロブ・ブライドンのドワーフコンビの掛け合いや、愛に超ポジティヴなクリス・ヘムズワースの一直線ぶりなどの見どころもあります。お勧めはしないですが、前作が気に入った方にはいいんじゃないですか。

それでもストーリーとアクションシーンの残念ぶりは特出していますが、、、

『スノーホワイト/氷の王国』:

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Summary
Review Date
Reviewed Item
スノーホワイト/氷の王国
Author Rating
2
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