リブート版『ゴーストバスターズ』レビュー(ネタバレページあり)

ポール・フェイグ監督作『ゴーストバスターズ』のレビューです。幽霊退治に挑む冴えない研究者を描き1980年代に人気を博したシリーズを女性主役でリブートさせた意欲作。公開前のネガティヴな反応を吹き飛ばす爆笑アクションコメディ!

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『ゴーストバスターズ』

全米公開2016年7月11日/日本公開2016年8月19日/コメディ/116分

監督:ポール・フェイグ

脚本:ケイティ・ディッポルド、ポール・フェイグ

出演:クリステン・ウィグ、メリッサ・マッカーシー、ケイト・マッキノン、レスリー・ジョーンズ

レビュー

公開前は一部から「オリジナルを侮辱している」とブーイングにされされたリブート版『ゴーストバスターズ』だが、蓋を開けてみれば、主要キャストが男性から女性に変更されたことなんてどうでもいいことに思えるほどに、1984年の『ゴーストバスターズ』を彷彿とさせる素晴らしく楽しい作品に仕上がっていた。

ストーリーの骨格やキャラクターの設定はほぼ1984年版を踏襲している。

物理学者のエリン(クリステン・ウィグ)はかつて幽霊の実存性を研究していた過去をひた隠してコロンビア大学で教鞭をとっている。しかしふとしたきっかけで過去に発表した幽霊に関する本がインターネットに売りに出されているのを見て、直ちに幼馴染でかつての研究パートナーだったアビー(メリッサ・マッカーシー)のもとに怒鳴り込む。これが同僚にバレたらせっかくのキャリアが台無しになる。

しかしアビーは出版の権利は自分にあると一歩も引かず、天才エンジニアのジリアン(ケイト・マッキノン)とともに幽霊研究を続けていた。呆れ果てるエリンだが、そんな時にインターネットで売りに出されていた本を読んだ一人が幽霊屋敷について相談に来ており、その屋敷を案内する代わりに出版を取りやめるよう交換条件を交わす。

そして向かった屋敷で「本物の」幽霊と出会ったエリン、アビー、ジリアンの3人は擦った揉んだの末に幽霊退治専門業者「ゴーストバスターズ」を立ち上げ、そこにNYを隅々まで知り尽くしたパティ(レスリー・ジョーンズ)と、イケメンだが頭に悪い受付男子ケヴィン(クリス・ヘムズワース)も加わることになる。

一方で幽霊が突如としてNYに現れた背景には恐ろしい計画が隠されていた、、、、

異論はあれど1984年の『ゴーストバスターズ』と1989年の続編を比較すれば、やはり第1作目のほうが断然に面白かった。SFアクションコメディというジャンルでは、アクション性とコメディラインが強調されるためにストーリー面で大胆な冒険ができるわけもなく、続編に関しては第一作目の焼き回しという印象が強くなってしまい、テンポが緩くなってしまった。

とにかく1984年の『ゴーストバスターズ』の何が素晴らしいかといえば、ノンストップ・コメディ・アクションとも言うべき、止まることなくラストまで坂道を転がっていくようなテンポの良さだった。おかげでマシュマロマンとは何なのかという問題や、先の読める展開も苦にならない。ゴーストやガジェットに象徴される特徴的な世界観に、個性的なキャラクターたちがマッチングした結果、『ゴーストバスターズ』は未だにファンから愛される映画となった。

そして2016年の『ゴーストバスターズ』はオリジナルの魅力を現代に再現するという意味で素晴らしいリブート作品と言える。

とにかくテンポがいい。シーンが変わるごとに必ずキーとなるギャグが放り込まれ、『オズの魔法使い』『ゴースト/ニューヨークの幻』『キャスパー』といった映画ネタをギャグにしつつ、アクションでは『ダイハード』を彷彿とさせるシーンも登場するなど随所に映画ファンを喜ばすサービスが施される。カメオにはビル・マーレイ、ダン・エイクロイド、アーニー・ハドソン、シガニー・ウィーバーといったオリジナルキャストも登場させつつ、オジー・オズボーンの姿も見える。

こういったサービスが満遍なく散らばっているところに、4人の女性ゴーストバスターズの関係性がオリジナルから継承されたテンポの良さに加わることでこれまでにない新しい化学反応をもたらしてくれている。特にケイト・マッキノン演じる天才エンジニアのジリアンの個性は際立っていた。オリジナルではハロルド・ライミスが演じたキャラクターに相当するのだが、性格は正反対。出身母体の「サタデー・ナイト・ライブ」では気が狂ったヒラリー・クリントンや、気が狂ったメルケル首相や、気が狂ったジョディ・フォスターを演じて人気を博しただけあって、かなりエキセントリックなのだが、それがとにかくロックでワイルドでカッコイイ。

もちろんクリステン・ウィグとメリッサ・マッカーシーの関係も本作の重要なポイントになっている。かつては親友だったけれどもその後仲違いした二人があっという間にかつての友情を取り戻すという男同志だと嘘くさくなってしまいそうな設定にも無理がない。

そしてオリジナルで数合わせて参加させられたアニー・ハドソン演じたウィンストン役に相当するレスリー・ジョーンズ演じるパティは、1984年と2016年という時代の変化を最も象徴している。オリジナルでは筋肉担当だったが、本作では物語上の肝っ玉と経験は彼女が体現している。映画公開後にレスリー・ジョーンズに対して行われた不愉快な「言論の自由」は本作を見ることで更に胸糞が悪くなる。

とにかく新『ゴーストバスターズ』は近年のリブート作のなかでも成功例のひとつとして、懐かしくも新鮮な作品に仕上がっていた。

しかし問題点もある。ポスプロ段階で意識的にテンポを上げるたるために展開を早めたのだろうが、編集ポイントに違和感を感じる部分が散見された。特にラストに近づくにつれてその傾向は濃くなり、作品のテンションを損ねる結果にもなっている。また物語の筋そのものにも安易さが目立つ。

それでも30年以上前の作品をこうして現代風に甦らしたということはしっかりと評価されるべきだ。オリジナルのファンはそれでも不満かもしれない。ビル・マーレイの扱いがヒドいとか、音楽に使い方は分かっていないとか、ギャグが子供向けで穏やかすぎるとか、、、。しかしこれまで長きにわたって『ゴーストバスターズ』の新作が作られなかった経緯を思い起こせば、こうやって劇場で新しい『ゴーストバスターズ』が観られるだけで幸せでもある。ハロルド・ライミスだってきっとそう言うだろう。「水族館が魚にとっての潜水艦」なだけではないように、『ゴーストバスターズ』だって昔のファンだけのものではないはずだから。

新規の観客にもそしてオリジナルのファンにも楽しめる作品だと思う。

P.S.クレジット後やエンドロール後におまけ映像あり、そしてハロルド・ライミス追悼も。

『ゴーストバスターズ』:

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Summary
Review Date
Reviewed Item
ゴーストバスターズ(2016)
Author Rating
4
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