【映画】イーサン・ホーク主演『プリデスティネーション』レビュー【2月28日公開】 ※ネタバレあり

イーサン・ホーク主演のタイムトラベルSF作品『プリデスティネーション』のレビューです。巨匠SF作家ロバート・A・ハインラインの傑作タイムパラドック小説『輪廻の蛇』を原作とした、時間、空間、そして性別や運命までも飛び越えていく衝撃のSFサスペンス。『バタフライ・エフェクト』やスティーブン・キングの『11/22/63』の原点とも言うべき、究極のタイムパラドックス作品。日本公開は2015年2月28日。SF好きには外せない一作。

Predestination

■ストーリー、前半■ ※ネタバレ部分はクリックで

ある特殊なエージェントはひとりの爆弾魔を追っていた。そして爆弾魔の凶行を止めることには成功するも、そのエージェントは炎に焼かれ身体中に重度の火傷を負い、爆弾魔も逃してしまう。しかしそのエージェントは不思議な機器を使用し、時間を飛び越える。手術の結果、男はこれまでとは全く別人の顔に整形され、そしてその新しい顔をもって最後のミッションに当たる。

■レビュー■

本作『プリデスティネーション』はSF小説の巨匠ロバート・A・ハインラインのタイムパラドックス小説『輪廻の蛇』を原作としている。タイムパラドックスの究極を描く傑作として多くのSFファンに知られており、同様にハインラインの小説で日本でも広く読まれるタイムトラベル小説『夏への扉』とは違い、タイムパラドックスの究極をテーマとしている。ハインラインのファンのなかには、この『輪廻の蛇』と『時の門』こそが、タイムパラドックス小説の出発であると同時に終着だと考える向きもある。

そして本作『プリデスティネーション』はほとんど非の打ち所がないという具合に、傑作小説の映像化に成功している。本作は短編である原作小説に没頭するのとほとんど同じ時間 感覚の90分でまとめられており、物語のオチを知っている者からしてみても、後半、一気に畳み掛けるように訪れる真実の歪みには圧倒された。ちなみにこの原作小説はハインラインがたった1日で書き上げたことにも、そのスピード感が表れている。そして物語の終わりになって、前半部に散りばめられていた何気ない所作の多くが、一挙に回収されていく様も見事だった。

いつも日本公開前の映画を嬉々としてネタバレしている本サイトだが、本作に限っては、絶対にネタバレを読まずに鑑賞してもらいたい。二段、三段にも構えられた物語の表面上の底が、一つ崩れてはまたさらに底に落ちていく連続は、原作にも負けず劣らずにサスペンスフルだ(とはいってもネタバレ記述はしますが最後のオチは書いていません)。ジャンルは違えど2003年の多重人格者を巡るジェットコースター・サスペンス『アイデンティティー』のように、目の前の謎を解決することでまた新しいより強大な謎が出現する多重構造を備えており、その一重一重に、時間を巡る歪みが敷き詰められている。

ネタバレをせずにこの映画の魅力を伝えることは非常に難しいのだが、『インターステラー』や『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のような大柄なSF映画をA級作品と呼ぶのなら、本作は明らかにB級な小さな世界観ながらも、ピーター&マイケル・スピエリッグ監督の演出と脚本の質そして編集の巧みさは前作の『デイブレイカー』よりも明らかに向上している。B級的小さな世界だからこそ描ける、たったひとりの人間の数奇な運命。『プリデスティネーション/予定説』という題名にも通じる、時間を巡るひとりの存在の抗いが、絶妙なコンパクトさで描かれている。

てっきり本作はDVDスルーになると思いきや、『テイク・シェルター』や『アイアン・スカイ』などをしっかりと日本に紹介してくれているアプシディオが配給し日本公開することになった。息つく暇のなく訪れる驚愕の結末をしっかりと見届けてほしい。

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※次のページにストーリー後半のネタバレあり※

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