映画レビュー|『ミニオンズ』-脱力系冒険活劇

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『怪盗グルー』シリーズに登場する謎の黄色い生物の冒険を描いた『ミニオンズ』のレビューです。何を言っているのかわからないはずなのに、何故か聞いたことのある単語が出てきたり、言っていることが何となくわかってしまうミニオンズの、怪盗グルーに出会うまでの壮絶かつアホらしいな大冒険を描く。日本公開は2015年7月31日。ネタバレあり。

『ミニオンズ/Minions』

全米公開2015年7月10日/日本公開2015年7月31日/アメリカ映画/91分

監督:ピエール・コフィン、カイル・バルダ

脚本:ケン・ダウリオ、シンコ・ポール

声の出演:ピエール・コフィン、サンドラ・ブロック、ジョン・ハム、マイケル・キートン、真田広之、スティーブ・コーガン他

あらすじ(ネタバレなし)

謎の黄色い生物ミニオンズたちは、単細胞の時代から常に最悪のご主人様に支えては、自らの失態でご主人様を殺してしまい、次のご主人様探しに出かけるという不毛なルーティーンを有史以来続けてきていた。お使えしたご主人様はTレックスや原始人、やがてはエジプトのファラオやドラキュラ、そしてナポレオンなど多岐に渡るも、やがてミニオンズはご主人様のいない安住の世界に暮らし始めるも、その生活の無味無臭さを嫌って新たな最恐ご主人さまを探すべく、ミニオンズのケビン、スチュワート、そしてボブが仲間と離れて冒険の旅に出ることに。

そしてケビンらミニオンズは1968年のアメリカに到着、そこから英国女王の王冠をめぐる大騒動に巻き込まれていくのだった。

※次のページにネタバレのストーリー解説あり

レビュー

「怪盗グルー」ファンは必見の脱力系冒険活劇:

ユニバーサルが傘下に置くイルミネーション・エンターテイメントの主力ブランド『怪盗グルー』に登場する謎の黄色い生物を主役とした本作は、スピンオフ映画のお手本のような作品となっていた。

『怪盗グルー』シリーズに登場するも、その意味不明でキュートなミニオンズの言動に隠された秘密には触れられることなく、それ故に語るべき世界観の下地は十分にあった。日本のヒットドラマのスピンオフ作品が往々にして全く話にならないのは、先行作品と同じような物語設定のなかで主人公だけをサブキャラに置き換えるという脚本上の手抜きと、そもそも本シリーズではサブキャラであってもしっかりとした見せ場が与えられている準主役級キャラを主役に据えるというあからさまなヒット作への便乗精神が企画の内容をほとんど考慮しないことに由来する。しかし『ミニオンズ』に関して語るべき物語は『怪盗グルー』が制作されていた段階からすでに存在していたはずで、『怪盗グルー』のヒットは本作が作られるきっかけに過ぎない。

本作『ミニオンズ』にはスピンオフ作品の偶発性と、先行する『怪盗グルー』シリーズの世界観を深めるというシリーズ全体に影響するような価値があった。『怪盗グルー』シリーズをご覧になられればわかるが、そこではミニオンズたちについて驚くほどに語られない。ただそこにいる変な生き物として、登場人物たちは当たり前のように受け入れており、観客が感じる困惑とのギャップが作品の魅力のひとつにもなっていた。あまりに放ったらかしの謎の存在だったため、日本では「ミニオンズはバナナから生まれた生き物」という説も流れたが、本作ではしっかりと彼らの細胞レベルからの進化の過程が描かれている。

悪気はないが迷惑ばかりかけても反省はない、謎の生物ミニオンズが1968年のアメリカとロンドンに降り立ち、やがては運命の主人グルーに出会うまでを描いているのだが、時代背景も主人公の属する世界も『怪盗グルー』シリーズとは全く違うために、ミニオンズの存在を知らない人が見ても楽しめるような作りになっており、さらに本作から『怪盗グルー』シリーズへと立ち返る観客も想定している。ファンが内輪で楽しむだけの映画に終わっていない。

また近年のメッセージ性が高まっていくアニメーションのなかでにあって、本作のような「楽しむことだけを目的」とした作品は逆に潔く感じる。本作の8割なナンセンスなミニオンズの存在によって作られており対象年齢は低くなっているものの、そのおかげでバカになることの楽しみを感じさせてくれる。それでも最後はケビンの男気にグッとくること必至。

『怪盗グルー』シリーズのファンでミニオンズの存在が気になっていた人にとっては待ってましたの一作で、彼らがなぜオーバーオールを着るのかも説明されている。チンパンジーのパンくんに変わるオーバーオールの象徴にミニオンズがなれるのか日本でのヒットにも期待がかかる。また声優(英語版)としては悪党相撲レスラー役で真田広之も参加している。

そして本作の最大の楽しみが、何を言っているのかわからないはずのミニオンズの会話に、なぜか聞き覚えのある日本語の単語や、他にもスペイン語風やインドネシア語でのありがとうを意味する言葉などがポンポンと放り込まれるのを聞き分けることにある。特に日本語では「さよなら」の他にも「やきとり」とか「たまたま」と聞こえるセリフもあって、これを探すのがなかなか楽しいのだ。

日本ではピクサーの新作『インサイド・ヘッド』(7月18日公開)と重なることになるが、案外ディズニー/ピクサーを食うことになるかもしれない(『インサイド・ヘッド』の前評判は圧倒的ですが、、)。日本のゆるキャラ人気とも相性は抜群。先行作品の世界観を深めると同時に、独立した作品としても楽しめる、まさにスピンオフのお手本のよう作品と言える。

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※次のページにネタバレのストーリー解説※

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