『ハイネケン誘拐の代償』レビュー ★

1983年に実際に起きた巨大ビール会社ハイネケン経営者誘拐事件を基にしたサスペンス映画。当時史上最高額の身代金が要求された誘拐事件の知られざる内幕を明らかにしていく。ハイネケン氏を演じるのは名優アンソニー・ホプキンス。日本公開は2015年6月13日。

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『ハイネケン誘拐の代償/Kidnapping Freddy Heineken』

全米公開2015年3月6日/日本公開2015年6月13日/英国・オランダ合作映画

監督:ダニエル・アルフレッドソン

脚本:ウィリアム・ブルックフィールド

原作:ピーター・R・デ・ヴリーズ著『Kidnapping Freddy Heineken』

主演:アンソニー・ホプキンス、サム・ワーシントン、ジム・スタージェス他

あらすじ

幼馴染の5人組は金策に苦労する毎日を送っていた。それに嫌気がさした彼らは、手っ取り早く巨額の現金を手にいれる方法として誘拐を企てる。仲間のなかでビール会社ハイネケンと関係があった家に育った者がいたため、世界的な企業に成長していたハイネケンの経営者を誘拐することにする。

計画は実行され、犯罪の素人の5人はハイネケン氏とそのドライバーの誘拐に成功。巨額の身代金を要求する。

しかしなかなか身代金が支払われないことに苛立ちを募らせていく。

1983年当時、史上最高額の身代金となった誘拐事件の、知られざる内幕が今明かされる。

レビュー

ただただ退屈な実話ベースというだけの映画:

オランダで1983年に実際に起きたハイネケン経営者誘拐事件を描いた本作。ハイネケン氏を演じるのは名優アンソニー・ホプキンスで、誘拐犯を演じるのは『クラウド アトラス』のジム・スタージェスや『アヴァター』のサム・ワーシントンなど。そして監督にはスウェーデン版『ミレニアム』の第2,3作目のダニエル・アルフレッドソン。この映画に関わったメンツだけを見れば期待を抱かせるに十分だし、それが実録モノの誘拐事件となれば早々と日本公開が決定した理由も理解できる。しかしその中身は惨憺たるものだった。程度の低いテレビドラマのような脚本と演出が延々と垂れ流され、挙句には作品のテーマをそのままセリフで繰り返してしまう始末。内容だけに留まらず志しまで低い。

本作に褒められる部分を見つけようとすることは、ファストフードの魅力を早いだ安いだと褒め称えるのと同じで、ほとんど何の意味もない。マクドナルドが早くて安いのは当たり前で、それは魅力として敢えて語るべき部分ではない。同じく本作に出演するアンソニー・ホプキンスの演技を褒めることは可能かもしれないが、それはただ「彼は演技をしていた」という事実を述べているだけで、この作品を肯定的に語れる要素にはなり得ない。そもそも作品の価値と完全に分離して俳優の演技を褒め称えるのは、その俳優に失礼である。正確にはいい演技をしたのかもしれないが、作品の評価を覆すまでではない、とするべきだ。

これはただの内ゲバを扱った話である。そして犯罪の素人たちがその大胆さのみで捜査の網から逃れることに成功したというだけの話だ。しかも誰が死ぬわけでもないのに、やたらとメソメソするだけの連中の物語だ。こんな話は日本でも連合赤軍などに関連して腐るほど存在することだ。ただ目に付くこととは、誘拐した相手がハイネケンの経営者であって身代金が当時の史上最高額だったということだけ。しかし劇中の全ては誘拐犯の視点から描かれるため、被害者がハイネケンであることが全く活かされていない。彼はただ鎖につながれて誘拐犯たちに曰くありげなセリフを語りかけるだけの存在で、物語に主体的に関わってくることはない。本作の日本での宣伝記事には「加害者、被害者両者の視点から描かれる」という記述があったが、それを書いた人は映画を観ていないか、そもそも映画における視点というものを理解していないかのいずれかだ。ハイネケン(アンソニー・ホプキンス)の主体的な視点では何も語られない。彼はこの実話を映画化にするにあたり捻出されたテーマをただ口にするだけの存在だ。

脚本、演出、キャラクター設定、何をとっても無様な出来栄え。これが映画であることの意味とは、もしテレビドラマだったのなら簡単にチャンネルを変えられるような作品でありながらも、映画であるから金を払った以上最後まで観客は見続けるだろうという非常に腹の立つものでしかない。

こんな映画を金を払って観るくらいなら、他にやるべきことはいくらでもある。

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ということで 『ハイネケン誘拐の代償』のレビューでした。悲劇的につまらなかったです。そもそもが映画化するほどのものではなく、こんな脚本でよく企画が通ったとある意味感心してしまいます。星はひとつとしましたが、本当はゼロでもいいくらいです。一応こんな映画でも日本公開が決定しているので、あまり口うるさく言いたくありませんが、こんな映画を劇場にかけるくらいなら他にいくらでもあるだろう、と思ってしまいます。とにかくつまらんのです。日本公開は2015年6月13日ですが、同日には是枝監督の『海街diary』やサイモン・ペグ主演の『しあわせはどこにある』も公開されますのでそっちにしたほうが絶対にいいと思います。その2作品ともまだ観てないですが、これよりつまらないということはないでしょう。

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