映画レビュー|『INFINI インフィニ』

オーストラリア製映画『INFINI インフィニ』のレビューです。『エイリアン』や『イベント・ホライズン』、そして『28日後…』などの系譜に位置するSFホラー作品。謎の病原菌によって人間の憎悪や暴力性が高められていく恐怖のなかでのサバイバルを描く。

Infini movieposter

『INFINI インフィニ/Infini』

監督:シェーン・アベス

脚本:シェーン・アベス

出演:ダニエル・マクパーソン、グレース・ファン、ルーク・ヘムズワース他

全米公開2015年5月8日/日本公開未定/オーストラリア映画/110分

あらすじ

23世紀初頭、人類の大多数は貧困にあえいでいた。一方で世界は「スリップストリーム」という他の惑星まで個人を瞬間移動させる革命的技術を発明していた。リスクを伴いながらもその技術を使用して他の惑星にある炭鉱で働くことが、貧困から抜け出す唯一の手段だった。

ウィット・カーマイケルも、身重の妻を持ち貧困から抜け出すため「スリップストリーム」を使用するも、その時現場で異常事態が発生する。

人々が死んでいく中、唯一残されたウィットを救出するために早速チームが地球から派遣される。しかしそこで待っていたのは謎の病原菌の感染と、チーム内での殺し合いだった。ウィットやチームのメンバーは愛する者が待つ地球に帰ることができるのだろうか。

レビュー

王道SFホラー演出にゾンビ要素を加えた結果、、、:

最近はほとんどB級映画のジャンルに飲み込まれた感のあるSFホラー。期待されたリドリー・スコット監督による『プロメテウス』も大ヒットとはならず、SFというジャンルがアメコミやヒーロー映画に移植されたり、もしくは人間ドラマの背景や現代社会のメタファーとして使用されるに留まるなど、純粋なSFホラーというのはめっきり少なくなった。

そんななかハリウッドの草刈り場と化しているオーストラリアから届けられた『インフィニ/Infini』は至極まっとうなSFホラー作品だった。そして至極まっとう故に、設定の多くは過去のSFホラーと類似している。原因不明の大惨事。唯一の生存者。派遣される救出チーム。そして閉鎖された空間の中でチームのメンバーもまた「何か」の餌食となる。『エイリアン』や、1997年の『イベント・ホライズン』、そして古くは1955年の古典SF『禁断の惑星』にも使用されたフォーマットである。もちろんオリジナリティはあるに越したことはないが、類型的な設定だからと言って作品がつまらないわけではなく、そこにオリジナリティ溢れる再利用な再解釈なら何の問題もない。そもそも観客の多くは『禁断の惑星』はもちろんのこと『エイリアン』さえ観ているか怪しいのだ。

まず明らかな欠点からあげつらおう。この手の閉鎖空間でのサバイバル作品に重要なはずのメンバーの個性が描ききれていないこと。主人公でさえ不十分なのにサブキャラの背景はほとんど描かれず、物語の展開が早い分、メンバーそれぞれの性格以前に、誰が誰なのかという基本的な差異さえも掴みづらい。こいつ誰?という事態は緊張感を大いに妨げれてくれる。そして物語の開始と同時に文字で説明される近未来の状況説明も脚本上での怠惰としか思えないし、他に物語上で説明がありながらも全く回収されずに終わってしまう設定もある。ネタバレになるのでそれが何かとは言わないが、広げた風呂敷を回収するのは礼儀であるし、回収するのが面倒ならなんらかの言及はされてしかるべきだろう。こういった齟齬は監督が脚本もプロデューサーも兼任していることの弊害とも言える。

しかし全体として、本作はSFホラーとして十分に楽しめる作品となっている。オーストラリア映画で予算も限られている中、CGは最小限で、音楽やカメラワークといったアナログなアプローチで恐怖感を演出しており、その古典的な手法がラストでは一気に覆されるのも、その転換自体がストーリー部分とも関連しており、見事だった。また『イベント・ホライズン』と酷似する内容ながらも、その正体が最後になるまで明確にならない「引き伸ばし」戦略もクドくならないように注意されており、ノンストップで何かが起き続ける演出も、観客に余計なことを考える隙を与えずに没入感を高めている。途中で導入されるゾンビ的演出も安く時流に乗っただけでなく、作品のテーマとしかっり繋がっている。そしてラストのオチ部分も、先行作品を念頭に置いた上ではっきりとした違いを生み出している。この終わり方は全然悪くない。

低予算ながらもB級作品という逃げ口上を排除し、あくまでSFホラーの王道として勝負した本作。次に何が起きるのかという期待感と恐怖感をこのジャンルに求める限りは、十分に楽しめる内容となっている。

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ということでオーストラリア映画『インフィニ/Infini』のレビューでした。ネタバレはしません。サブキャラに『マイティ・ソー』のクリスと、『ハンガーゲーム』のリーアムの兄であるルーク・ヘムズワースが出演しています。『エイリアン』や『2001年宇宙の旅』など、様々な先行作品にスピリッツを感じることができる作品です。そして重要なことですが結構コワいです。このジャンルが好きで、説教臭く小難しくなるSF設定に「けッ」と思っている人にもオススメです。もちろん日本公開は未定です。

追記:本作はヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田で開催される「未体験ゾーンの映画たち 2016」の一作として2016年1月16日より日本公開が決定しました。

Summary
Review Date
Reviewed Item
INFINI/インフィニ
Author Rating
3
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