映画レビュー|『ヒットマン: エージェント47』-最強の自分を殺せるのは誰だ?

Hitman Agent 47 Poster

『ヒットマン: エージェント47/Hitman: Agent 47』

全米公開2015年8月21日/日本公開未定/アメリカ・ドイツ/96分/アクション

監督:アレクサンダー・バッハ

脚本:マイケル・フィンチ、スキップ・ウッズ

出演:ルパート・フレンド、ハンナ・ウェアー、ザッカリー・クイントほか

あらすじ(ネタバレなし)

後頭部に謎のバーコードを焼き付けているスキンヘッドの謎の男。彼の経歴はどこにも存在しておらず、ただ「47」という番号で呼ばれている。

47とは秘密裏に遺伝子操作によって生み出された最強の殺人マシーンの最高傑作。

一方で、謎の企業がこの47を生んだ遺伝子操作の秘密を探ろうと、製作者の身元を探していた。そしてその居場所を知ると思われるひとりの女性。

突然銃撃戦に巻き込まれた女性の前に現れた47。彼は敵なのか味方なのか。

レビュー

最強の自分を倒すことができるのは?:

本作は人気ゲーム『ヒットマン』の第二回目となる映画化作品で、2007年にヴィン・ディーゼルが製作総指揮を務めたヨーロッパコープ作品『ヒットマン』のリブートでもある。また当初は主演にポール・ウォーカーを迎えて企画がスタートするも、ポールの死により『プライドと偏見』のルパート・フレンドが剃髪の暗殺者を演じることになった。

簡単に要約すると本作は『ジェイソン・ボーン』シリーズのフォロワー作品ということになり、政府が秘密裏に行っていた最強暗殺者育成プログラムの一員であった「47」が、自分が生み出した計画の責任者の娘とともに謎の組織と戦うというストーリー。プロットのひとつひとつには新鮮味はなく、クローン、人間兵器、特殊教育、超人的能力などなど、悪く言えば色々なスーパーヒーロー映画やアクション映画から都合のいいプロットを寄せ集めたと言うこともできる。加えて坊主姿の主人公「47」が『プリズン・ブレイク』の兄ちゃんそっくりで、一体この作品のオリジナルとはどこにあるのか見つけるのが難しいのも事実。

きっとその事実が本作の評価を分けることになるだろう。ゲームが原作でしかもシューティングの映画化のため、物語のオリジナル性にそもそも限界があることも理解できるが、そもそも本作がゲーム原作か否かということはファンを除けば、どうでもいい情報でもある。ゲーム原作だろうが、リブートであろうが、面白ければそれでいい。

結果、なかなか楽しめた。確かに前半は眠い。いきなり仰々しい世界観の説明から始まり、いくつかの「ヨーロッパ・コープ」風なアクションシークエンスが続く中盤までは、先行作品との酷似が気になって仕方ない。ストーリー面では『ジェイソン・ボーン』シリーズや『キャプテン・アメリカ』などを意識しつつ、アクション面では『リベリオン』や『ジョン・ウィック』などでも見られた銃を身体の延長上として扱う、様式美としてのガンアクションが見られる。このように物語の世界観が似ている先行作品の魅力的細部を潔いほどに再利用しているものの「パクリ」という批判自体が無意味になってしまうほどに、その姿勢は潔い。

一般的に映画はいいとこ取りだけでは作品としては成立しないのだが、本作はなかなかうまくコントロールされていた印象で、クライマックスに用意されているガンファイトでは、これまでのコピー&ペイストな方針とは打って変わり、美しい殺戮シーンを描いていた。最後だけはしっかりとアクションゲームとしての矜持を見せたというところだろうか。また撃たれた連中がしっかりと血しぶきを吹き出してくれるのもナイス。

そして物語上においても、アクションにおいても、最大の問題が主人公である 「47」が完全無欠状態に強いということだろう。中盤からはスカウトする形になった仲間も新能力を発動するなど、物語の危機が膨れるのに合わせて主人公側の能力もさらに膨れ上がるという反則すれすれの行為を連発する。ここまで強くなった主人公たちの危機を演出するのは並大抵ではない。人はそれを『ゴーストライダー問題』といい、無敵の主人公があっという間に危機を解決するものだから映画にならない。映画の最初と終わりで主人公は何も成長せずに最強のままで終わっていくセガール映画や『ゴーストライダー』のような問題をどう解決するのか。将棋の羽生永世名人も「羽生は羽生と戦わなくてもいいからずるい」と難癖つけられることがあるが、本作はまさにそういった最強の自分と戦わなくてもいい「ズルさ」を匂わせながら、ただ唯一の最強で終わらないプロットを用意している。原作にあった内容のようだが、うまく映画に取り込み、次回作へと繋がるような流れを生んだ。

だからと言っても本作はアクション映画の平均的な水準を大きく超える作品でもない。良くも悪くも「ヨーロッパ・コープ」風で、VFXの質もお世辞にも高くない。走っている電車から転げ落ちたのに、2,3回転しただけで立ち上がるというのは超人云々ではなく物理法則を無視している。こういうCGは使わないほうがいい。

細部には色々と問題があって、「ウィルス送信」というパネルをクリックしただけで厳重なセキュリティが突破されたり、可哀想なほどにアメリカの政府機関がザル過ぎるなど、主人公側に都合のいい環境が多々あるも、決して大作とは言えないリブート作品にあっては仕方のない部分だと思う。アクション映画としては派手なガンファイトがあり、容赦なくみんな撃ち殺されるので、見所には事欠かない作品でもある。

本作を観て思ったこととは、内容と全然関係ないけど、やっぱり羽生さんは羽生さんと戦うべきだということ。最強は最強と戦うべきなのだ。

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ということで『ヒットマン: エージェント47』のレビューでした。最初は退屈だったんですが、中盤からはしっかりと魅せてくれます。それにしても最近は本当に続編やリブートばかりで、ちょっと飽き飽きですね。ハリウッドは今やリーマショックを抜け出して高額な制作費が集められるようになってきましたが、それでもオリジナルにはディズニーなどの強力なバックが付いていない限りまだまだ金を回らないということでしょうか。正直本作の代わりは他のヒーロー・アクション映画で務まるような気もするのですが、それでもまだまだこのリメイク・リブートブームは収まりそうにありません。まあ、銃を撃ちまくっているからそれでいいのですが。以上。

Hitman-Agent-47-Poster.jpg
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