【映画】『大脱出/Escape Plan』レビュー

 シルベスタ・スタローン、アーノルド・シュワルツェネッガー共演作、『大脱出/Escape Plan』のレビューです。色々とツッコミどころも満載ですが、それが何だって言うのでしょうか。シュワ先生がマシンガンを手にし、スタローン師匠がヘリコプターに宙づりにされる、それだけで泣けるというものでしょうが!日本公開は2014年1月10日です。

 ストーリー:レイ・ブレスリン(シルベスタ・スタローン)は刑務所のセキュリティーの穴を見つけるプロフェッショナル。実際に刑務所に囚人として潜り込み脱獄しては、そのセキュリティーの不完全さを指摘し、より完璧な刑務所運営のためにアドバイスをするコンサルタント。ある日、レイのもとにCIAからある秘密の施設のセキュリティーに問題がないかを確認するための仕事が舞い込む。巨額の報酬ながらも謎が多く、同僚の一部はそのミッションへの不参加を勧めるもレイは彼のビジネスパートナーが乗り気であることや、彼のポリシーから参加を決意する。
 レイにはテロリストの偽IDが与えられ、作戦を開始しようとしたとき、何ものかにレイは拉致されてしまう。
 気がついたとき、レイは謎の収容施設に、他の囚人たちと同様に捕らえられていた。透明の壁で囲われた無数の独房に閉じ込められた多くの囚人たちレイ。マスクを被った看守たちから常に監視をされる状況のなか、レイは同じ囚人であるロットメイヤー(アーノルド・シュワルツェネッガ)の助けを借りながら、脱出の糸口をたぐり寄せていく。

 レビュー:「難しいことは考えないようにしよう。なるべくシンプルで、尚かつド派手に行こう」
 これは80年代から90年代にかけて一世を風靡した筋肉アクション映画のモットーだ。バットマンもスーパーマンも鬱病寸前のゼロ年代以降のブロックバスター映画には信じがたいことだが、あの頃、大作映画として話題の中心にあったのは、そんな筋肉映画だった。そして、言わずもがな、シルベスタ・スタローンとアーノルド・シュワルツェネッガーは常にシーンの最重要人物だった。どちらも滑舌に問題があり、長いセリフは苦手とするが、そんなことは問題にならなかった。観客が見たかったのは、筋肉に浮き上がる血管と大爆発に大量の銃弾、そして最後にはずる賢いインテリ悪役をぶち殺す筋肉男の後ろ姿だった。しかし現在においてはそんなものたちは、80年代青春映画と同様に、レンタルビデオ屋の片隅に忘れ去れるようになった。アーノルド・シュワルツェネッガーは州知事になって文字通りアメリカン・ドリームの体現者となるも、ユニークな外見の家政婦に手を出して全てを台無しにした。シルベスタ・スタローンはロッキーとランボーという最高の素材を、お笑いシリーズに書き換えてしまった。90年代後半には彼らをスクリーンで見ることはほとんどなくなった。
 が、しかし、大作映画にも小難しい哲学や思想を持ち込こまれるようになったゼロ年代、それに反発するように彼らは復活する。自閉的な社会に対して、彼は警告するのだ。体を鍛えな、と。
 スタローンにシュワルツェネッガー、共にもうお爺さんである。隠居しても誰も文句は言わない。でも彼らは戻ってくるのだ。なぜならそこにぶち殺されるべき悪党が跋扈し、乱れ撃ちされるべきマシンガンが主人を待ち、爆破されるべきドラム缶が無造作に積み上げられているから。
 はっきり言って、もう何度も見たことのあるようなプロットである。そしてここ数年、彼らが意識的にやってきたセルフパロディーをここでも繰り返し、長いカットでのアクションシーンも皆無である。しかし我々はこの映画を見過ごす訳には行かない。邦題は大脱出。そう、アクション映画において脱走系映画は毎年正月には家族揃ってはらはらするのが恒例だったコンテンツ。マックウィーンにブロンソン、ニューマンにイーストウッドなどなどみんな命がけで脱出してきたのだ。そして今回はスタローンにシュワルツェネッガーが協力して脱走するのだ。脱走する刑務所とは、当然のことながら現在の映画シーンの比喩である。緻密に計算され尽くしたプロット。一般の観客には窺い知ることのできない高度な映像技術と演劇メソッド。そんなもん、ぶち殺せ、と彼らは言っているのだ。
 スーパーパワーを出し惜しみするスーパーヒーロたち。正義とは何ぞや、というくだらない問答に右往左往する主人公たち。そんなちまちました悩みを聞きたくて映画館に通っている訳ではないすべての観客は、この映画を見ればいい。シュワルツェネッガーがマシンガンを持った瞬間に感じるあの高揚感。ヘリコプターから縄一本だけで釣りさげられているのに絶対に落ちないと断言できるスタローンの安定感。こういうのだって映画なんだと再確認できます。
 最後に言っておきますけど、万人にお勧めしているわけではありませんから。

 *ネタバレします!警告!これよりネタバレします!ただネタバレしなくても結末はもう知ってますよね!警告しました!これよりさくっとネタバレしますので注意してください!

376178 orig

スポンサーリンク

 謎の収容施設に閉じ込められたレイとロットメイヤーはひどい虐待を受けながらも、一歩一歩脱出へと近づいていく。隔離独房から一瞬の脱出に成功したレイは、自分たちが海洋上の強大タンカーに積まれていることを知る。さらにイスラム教徒の大男の助けを借りながら、航海場所を割り出すことに成功。口説き落とした船医の連絡によって送り込まれたロットメイヤーのボスであるマンハイム氏のヘリコプター部隊の力を借りながら、レイとロットメイヤーは激しいガンファイトをタンカー内で繰り広げ、仲間の死にもめげずに、とうとうヘリコプターでの脱出に成功。その際には、タンカーに山積みにされていた燃料タンクに銃弾をぶち込んで大爆発を起こし、悪の親玉の看守長を丸焦げにすることも忘れない。
 モロッコの海岸に辿りついた二人の前には、レイに仕事を依頼したCIAの女性が現れる。実は彼女は囚われの身であった ロットメイヤーの娘であり、そもそもロットメイヤーはロットメイヤーではなくマンハイム自身であったことが判明。レイは彼の脱出のために送り込まれていたのだった。
 今回の一件にはレイのビジネスパートナーのクラークも関わっており、その報復としてレイらはクラークを車に閉じ込めたままタンカーに閉じ込めてしまう。そして一件落着したのだ。

 というわけで、筋肉老人の頑張りには心から拍手。日本公開は2014年1月10日。正月に公開するあたり、判ってるなー。邦題の付け方といい、そもそも若者を全然視野に入れていないところも好感が持てます。

スポンサーリンク

376178_orig.jpg
おすすめ記事!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です