映画レビュー|『アース・トゥ・エコー』 -子供のためのジュブナイル映画

3人の少年と1人の少女が経験する、宇宙船を巡る一夜のおとぎ話『アース・トゥ・エコー』のレビューです。『E.T.』、『スタンド・バイ・ミー』そして近年の『スーパー8』を彷彿とさせるジュブナイル映画。小さなことには目をつぶり、子供たちが大人へ育っていく姿を温かく見守る限り、誰もが経験したことのある“あの頃”の輝きを思い出させてくれる映画です。

Earth to echo poster

■ストーリー、前半 ※ネタバレなし■

アレックスとタックとマンチの3人は、昔からお互いをビデオで撮り合う大親友だった。しかし彼らが住むネバタ州に持ち上がったハイウェイ建設のために彼らは故郷から立ち去らなければならなかった。そして3人は別々の街へと引っ越すことが決まっており、その日が徐々に近づいてきていた。

強制退去を目前に控えたある日、アレックスのスマートフォンのディスプレイに謎の信号が表示される。そして3人での調査の結果、それはアレックスの家の近くのあるポイントで決まって起こる現象であることが判明する。その不思議な信号を不審に思っていると、彼らの家に道路建設の作業員が訪れ、作業ミスによって電波に異常が発生してしまったことを詫びる。そして電波異常を被った携帯電話は新品と交換することを願い出るが、怪しく思ったアレックスはそれを断る。

コンピューターに詳しいマンチは、街の郊外から謎の電波が発せられていることを突き止める。そして3人は、最後の冒険として、その謎の電波の正体を探す旅にでる。

夜、互いの親に嘘をいって外出した3人は自転車にのって電波が発せられている場所まで向かう。そしてそこで3人はガラクタのような物体を発見するも、なぜか付近を作業員たちが巡回しており、彼らはその場所を後にする。帰路の途中、そのガラクタを入れてあったマンチのカバンが急に動き出す。そのグラクタが勝手に動き出したのだった。そしてまたしてもスマートフォンに干渉する謎の電波は、ある一軒家の納屋を指していた。

そこに辿り着いた一行だったが、納屋に入るや否や、勝手に動き出すガラクタは他の金属を呼び寄せるようにして、他の部品と合体し、やがてその中から小さな鳥にようなロボットが現れる。そして簡単なコミュニケートの結果、それは地球外生命のロボットであり、助けを必要としていることが分かる。

秘密を隠そうとする大人たちの追手から逃げながら、エコーと名付けたそのロボットを守るために3人は最後の冒険へと繰り出す。

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■感想 ※ネタバレなし■

2011年のJ・J・エイブラムス監督作『スーパー8』が「昔、子供だった大人たち」に向けて作られたジュブナイル映画だとするなら、本作『アース・トゥ・エコー』は「今まさに子供である子供たち」に向けて作られた映画である。そのため映画として粗が非常に多い。ある程度の社会経験を積んだ人間には簡単に見破れる“間違い”が多数ある。その多くは本作が『クロニクル』などに見られるようなモキュメンタリーの視点で映像が残されている設定で、主にタックが撮影している複数のビデオカメラ(GoProなど)が映画の視点となっていることに起因する。おそらくは2014年現在を映すカルチャー・アイコンとして、手軽にできるようになったビデオ撮影という設定を持ち込んだのだろうが、おかげで映画としてのリアリティー・ラインを大きく損なっている。暗闇でもばっちりライトが来ていたり、忍び込んだ納屋にはなぜか電気が付いている。大人になればなるほど、映画を観れば観れるほど、こういった設定の不備が気になる。

本作はあらすじからの印象の通り、『E.T.』や『スタンド・バイ・ミー』といったジュブナイル映画を強く意識している。少年たちの冒険に途中からクラスの美女が関わってくることや、地球に迷い込んだ宇宙人が故郷に帰るために宇宙船を作り直すことなど『スーパー8』とも非常に似ている。しかし『スーパー8』との最大の相違は本作が2014年の今を映しているということだ。『E.T.』や『グーニーズ』といった過去のジュブナイル映画が今尚支持される理由の一つに、大人のトレンドとは全く違う少年少女たちの風俗が映し出されていることが挙げられる。我々がその幼少期を舞台とするジュブナイル映画を度々見返す理由は、その物語が良質なのに加えて、そこに映されている過ぎ去った過去を懐かしみたいと思うからだ。その点では、2014年の今を少年少女として体験していない我々には、本作の将来的な価値を占うことはできないのかもしれない。

そういった意味でも本作は、我々のためではない映画として鑑賞する姿勢が必要かもしれない。それでも90分という時間に収められていることや、後半に一気に物語が加速することなどから案外退屈せずに観ていられる。特に前述したような粗捜しを諦めてからは、なかなか楽しめる。特に制作費のほとんどを注ぎ込んだような『トランスフォーマー』なシーンと、ラストの『スーパー8』なシーンは、モキュメンタリーの地味な絵面によく目立つ。

本作は決して柄の大きなSF映画ではないし、語り継がれるようなジュブナイル映画でもない。それでもきっと主人公と同じ年頃の子供たちが観れば、きっと我々(おっさん)とは違った感じ方ができるのではないかとも思う。本作を見終わった後、なぜか子供の頃に観た『ぼくらの七日間戦争』を思い出した。大人の評価が全てではない映画なのだと思う。

▼次のページよりネタバレとなる後半部のストーリー解説を行います▼

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