【映画】ディズニー最新作『ベイマックス』レビュー ※ネタバレページあり

日本人少年が主役のディズニー最新作『ベイマックス』のレビューです。最愛の兄を亡くし心に深い傷を負った少年とケア・ロボット「ベイマックス」が仲間たちと真実に立ち向かう物語。『アナ雪』が女の子のための作品だとすれば、本作は男の子感100パーセントのロボット・ヒーロー映画。日本に対するリスペクトに満ち溢れた作品。日本公開は2014年12月20日。

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■ストーリー、前半■ ※ネタバレなし

高度に洗練された都市サンフランソーキョーの片隅で行われている、賭けロボット対決。大人たちが自慢のロボットで戦いを繰り広げる中、ひとりの気弱そうな少年が屈強な男に戦いを挑んだ。どうみても勝ち目のない戦いに思えたが、その少年は小さなロボットを駆使し、あっという間に勝利。掛け金のすべてを手にするも、違法ロボット対決に加わったために、助けに現れた兄とともに警察に捕まってしまう。

その少年の名はハマダ・ヒロ。14歳でありながらも飛び級で高校卒業を果たした天才少年。幼い頃に両親を亡くし、兄のタダシとともに叔母のキャスと一緒に暮らしている。天才でありながらもその才能を持て余していたヒロを見かね、タダシは自分が所属する大学の研究室へとヒロを案内する。

そこでヒロが見たのは、自分の好きな研究に没頭するタダシの仲間たちだった。スピード命のゴーゴー・トマゴ、科学バカのハニー・レモン、何でも切りたがるワサビ、そして漫画オタクのフレッド。そして兄タダシもまたベイマックスという人の心と体を癒すロボットの開発に勤しんでいた。それまでロボット対決だけが全てだったヒロは一念発起し、彼らと同じ大学に入ることを熱望することになる。

そのためにヒロは大学関係者も訪れる研究発表会に参加し、そこでロボット対決でも使用していた、人間の想像力に合わせて形を変化できるマイクロボットを発表する。それは大きな反響を呼び、テクノロジー会社のクレイ・テックの社長に誘われるも、マイクロボットの開発者でありタダシの恩師でもあるカラハン教授のもとで学ぶことを選択する。

念願だった大学への入学許可を受けて、喜びの絶頂にあったヒロはタダシとともサンフランソキョーの夜景を眺めていると、突然、大学の研究室から火の手があがる。そこにはカラハン教授がいるはずだった。タダシはカラハン教授を助けるため、ヒロの制止を振り切って校舎に入っていた。そしてその瞬間、火に包まれた校舎は大爆発をおこした。

唯一の兄弟を亡くし心に深い傷を負ったヒロは、部屋に閉じこもるようになった。そんな時、部屋のなかでロボットを自分の足に落としてしまい悶絶していると、突然タダシの部屋のベッドの脇から風船型のベイマックスが起動した。ヒロの傷を治したいベイマックスと、ひとりになりたいヒロがもみくちゃになるなか、ベッドの下に脱ぎ捨てられていたヒロのジャケットのポケットから妙な動きをするマイクロボットの破片が見つかる。それはどこかへ行きたそうにしており、ベイマックスとヒロはマイクロボットが指し示す場所へと向かうことになる。そこには大量のマイクロボットが秘密裏に生産されており、そしてヒロとベイマックスは突然、カブキの面を被った謎の男から命を狙われることになる。

思わぬかたちで命を狙われたヒロとベイマックスは、知らず知らずのうちに、兄タダシの死の真相へと近づいていた。

■レビュー■

前作『アナと雪の女王』が日本で空前の大ヒットなったディズニーの最新アニメーション映画『ベイマックス』は、日本人少年ハマダ・ヒロが主役ということや舞台となる都市がサンフランシスコと東京のハイブリッドであるサンフランソーキョーという架空都市であることからも、日本文化からの強い影響が感じられる作品となっていた。

まず前作『アナと雪の女王』が女の子を中心として空前の大ヒットを記録したこととの比較で言えば、本作『ベイマックス』は男の子のための映画と言える。ベイマックスとヒロが中心となるのは間違いないが、原題が『Big Hero 6』であることからも5名+ベイマックスのヒーロー戦隊モノであり、彼らがチームアップしていく過程は盛り上がります。

そして日本文化への言及はいたるところに配置されており、ヒロの部屋に貼られたポスターやTシャツの絵柄がもろに「マジンガーZ」だったり、ベイマックスのフォルムが「トトロ」そっくりなこともわかりやすいオマージュです。本作は今年の東京国際映画祭でワールドプレミア上映が実施され、それに合わせて行われたプロデューサーのジョン・ラセターの講演でも、本作にとって日本文化が欠かせないことが語られています(ジョン・ラセターの講演の内容はこちらから)。

こういった事情は日本人として喜ばしい限りですが、それでも「出来のいい子ほど厳しめに」ということで、絶賛は控えます。

前作の『アナ雪』が「ありのままで」と歌われているように女性の生き方への問いかけでもあったのに対し、本作は純粋なエンターテイメント作品となっており、その点では近年のディズニーアニメのなかでは少し異質とも言える。それはマーベルコミックを原作としていることと関係しているのかもしれないが、例えば同じロボットアニメでピクサー製作の『WALL-E』のような作品しての深みは感じなかった。そして最大の問題点は仲間の存在がちゃんと活かしきれていない点。4人の仲間それぞれに特殊な力が与えられているのだが、それが敵との対決においてしっかりと生かされているとは思えない。またヒーローたちの進化の多くがヒロの天才性に依存しているというところもいただけない。ヒロも含めて血へど吐く努力の跡が全然見えない。子供向け映画だから、というエクスキューズはこの手の映画でももう通用しないのだ。

ただしエンドクレジットの後の爆笑シーンも含めて物語の締め方はさすがの一言。「ケア」という言葉の意味が深く突き刺さる内容となっている。

不満はあれど作品としての完成度は相変わらず高品質だし、サンフランソーキョーの街並みの作り込み具合は飛びぬけて素晴らしい。マーベルとディズニーの融合を象徴するように、純粋にエンターテイメントに徹した作品だと言える。あと最高の爆笑ポイントはクレジット後にあるので、最後まで席を立たないように。

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※次のページにストーリー後半のネタバレあり※

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