映画レビュー|『ミラクル・ニール』

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『ミラクル・ニール/Absolutely Anything』

全英公開2015年8月14日/日本公開2015年9月21日(したこめジャパンプレミア)/イギリス/85分/コメディ映画

監督:テリー・ジョーンズ

脚本:テリー・ジョーンズ、ゲーヴィン・スコット

出演:サイモン・ペグ、ケイト・ベッキンセール、ロブ・リグル、(モンティ・パイソンの5人とロビン・ウィリアムズが声優)他

あらすじ(ネタバレなし)

はるか銀河系の先の先―。そこではエイリアンたちが地球滅亡を企んでいた。しかし銀河法で、どんな惑星も一度は存亡のチャンスを与えるべきと定められていることから、超適当に地球人をひとり選んで、地球の運命を預けることになったー。知らぬ間に地球の運命を背負わされたロンドンの教師ニールは全知全能の力を手に入れる。しかし、そのパワーを愛犬のデニスとともに楽しむだけでロクなことに使わないニールだった。はたしてニールは地球の運命を変えられるのか!?

新・旧の英国コメディースターが結集した抱腹絶倒のSFコメディ! あの伝説のコメディグループ「モンティ・パイソン」のメンバーが、監督(テリー・ジョーンズ)&声優出演で再結集し、彼らの大ファンで今やハリウッドスターのサイモン・ペッグが出演を熱望し実現!さらに、故ロビン・ウィリアムズがまさかの愛犬役で最後の出演。願ったことは何でも現実化できてしまう全知全能の”奇跡の力”を手に入れた男を描いたドタバタ劇。

レビュー

サイモン・ペグ主催、モンティ・パイソン同窓会映画:

日本でも第8回したまちコメディ映画祭で特別招待作品として公開されることが決定しているサイモン・ペグ主演『ミラクル・ニール/Absolutely Anything』はモンティ・パイソンの教えでもある「とにかくバカであれ」ということを実践した作品だった。監督はテリー・ジョーンズで、モンティ・パイソンの5名が声優として参加していることから往年のファンにも堪らないだろう。

サイモン・ペグがモンティ・パイソンと組むとなれば誰もが期待する。しかもあらすじを読み限りでは『ブルース・オールマイティ』なサイモン・ペグが結局は犬としか話さないとある。犬好きもターゲットとしており、かなり面白そうなのだ。しかし実際はこのあらすじの通りではない。主人公ニールはひょんなことで宇宙の支配者から全知全能の力を授けられるのだが、別に愛犬デニスとの会話だけに使われるのではなく、色々とロクでもないことに使用する。小さなことかもしれないけど、こういったあらすじ詐欺みたいなことは止めたほうがいい。わかりにくい分だけ昔の東宝東和よりも悪質だ。

さて内容の方といえば、普通だった。これが普通の映画だった。もちろんドタバタシーンでは何度か笑い転げることにもなったが、内容があまりに普通なのだ。いわゆる「ある日突然スーパーパワーに目覚めた男」のドタバタ劇として過去に見てきたような『ブルース・オールマイティ』や近い映画としての『TED』と何も変わらない。なぜこんな普通のコメディを今更モンティ・パイソン総出で、サイモン・ペグ主演で映画にしなければいけなかったのか。

主人公は冴えない高校教師ニール。そんな彼がある日突然、右手を振るだけであらゆる願いが具現化する能力を授かる。理由は地球滅亡を画策する宇宙人らが銀河の法律に法って、最後のチャンスを地球に与えなければならず、その相手として「たまたま」ニールが指名されたことだ。このあたりの不条理なバカバカしさは「らしい」のだが、それ以後はもう既視感の連続である。「これはベタベタだから外してくるだろうな」という観客の予想をことごとく裏切り、堂々たる王道ストーリーを展開するのだが、そんなもんを観たいわけじゃない。

確かに主人公ニールがスーパーパワーを持ってしまったことでのドタバタシーンのテンポやギャグはさすがに面白い。しかしそれは細部でしかなく全体としては、普通、としか形容しようがない。もしかするとパイソンズな皆さんには色々と元ネタとかがわかるのかもしれないけど、話としては普通すぎる。ヒネリもウィットもあったもんじゃない。しかもアメリカのバカコメディの名脇役であるロブ・リグルが登場したあたりからは映画のバカさが一気に西海岸風になってしまう。そしてモンティ・パイソン映画としても「毒」が薄すぎる。インド系をいじったネタが登場するのだが、それも今や完全に安全圏のネタなのだ。

最高の見所であるモンティ・パイソンの5人がエイリアンの親玉に扮した場面も本筋とは関係がないため、リリーフ的な印象しか残らない。にも関わらず印象だけはビビットだから、もうこの5人が集まるために作られた映画としか思えない。まるで同窓会映画なのだ。しかも映画が職人的なまでに上手く80分ほどの短さに詰め込まれている分、印象戦となればモンティ・パイソンの5人には叶わない。

「モンティ・パイソンが再結集した」というだけで飛び上がるわけでもない世代にとっては、他に多数あるコメディ映画のひとつ、としか感じられなかった。「同窓会」がしたいならそれでいいのだが、あらかじめそう言ってほしかった。

また本作で犬のデニスの声を担当していたのが亡くなったロビン・ウィリアムズということで余計に残念だ。

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ということでサイモン・ペグ主演『ミラクル・ニール/Absolutely Anything』のレビューでした。映画としては「普通」に楽しめたのですが、モンティ・パイソンのコントを後追いでも一通り経験した身にとっては、彼らにとっての「普通」とは決して現状維持でも肯定でもないことくらいは知っています。僕の思うモンティ・パイソンの魅力とは「普通」が繰り返されること(日常)で露わになる「普通」の滑稽さ、と言えるかもしれませんが、本作ではただただ「普通」が繰り返されるだけで、そこからどこへも連れて行ってくれませんでした。残念です。ここ最近、サイモン・ペグ主演作との相性が悪くて困りますが、それでも笑いどころはばっちりあるので仕方なのでしょう。以上。

Summary
Review Date
Reviewed Item
ミラクル・ニール
Author Rating
2
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