【ゴジラ第11作】『ゴジラ対ヘドラ』について

7月25日の新作『ゴジラ』公開までに全28作を見直すという、孤独で過酷なマラソン企画第11弾は『ゴジラ対ヘドラ』。歴代ゴジラシリーズのなかでも際立つ異色作です。

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『ゴジラ対ヘドラ』1971年公開

監督:坂野義光

脚本;馬淵薫、坂野義光

出演:山内明、川瀬裕之、木村俊恵、柴本俊夫など

音楽:真鍋理一郎

・ストーリー ※ネタバレあり

水質汚染が続く駿河湾で発見されたオタマジャクシに似た未知の生物が、海洋学者の矢野のもとに持ち込まれる。そして時を同じくして、巨大な謎の海洋生物によってタンカーが破壊される事件も起こっていた。

海洋学者の矢野とその息子は、謎の生物の正体を突き止めようと調査に赴くも、そこで矢野はその生物に襲われ顔半分を損傷する重傷を負う。

ヘドロだらけの海から誕生した怪物ヘドラは、突如上陸する。ゴーゴー喫茶でちょうどトリップ中だった行夫とミキは、そこでヘドラと遭遇。またそこにゴジラも現れて、沿岸部の工業地域を舞台にゴジラとヘドラの格闘が始まる。結局は決着がつかなかったものの、街はヘドラの発する硫酸ミストのため甚大な被害を被っていた。

徐々に成長する特性を持つヘドラは、とうとうジェット噴射を利用した飛行能力まで獲得し、白昼にも市街地に出現することになる。ヘドラが通過した後には硫酸が撒かれたように錆び付き、人々は白骨化するなどの事態に陥る。そこにゴジラが再び現れるも、ここでもヘドラを仕留めることは出来なかった。

そしてとうとうゴジラを上回るほどに巨大化したヘドラは富士山麓に出現。そこで三度ゴジラと戦うことになる。またヘドラは乾燥に弱いと見抜いた矢野博士は、自衛隊に電極板の準備を依頼する。

ヘドラの圧倒的な強さの前になす術のないゴジラは左目を失い、体中を酸で焼かれてしまう。そして用意された電極板も送電線が壊されたために用をなさず、万事休すかと思われたが、その電極板目がけてゴジラが白熱光を発射。電極板の間でヘドラは崩れ落ちていく。そしてドロドロとなったヘドラの体の中にゴジラは手を突っ込み二つの目玉をくり抜く。ヘドラにとどめを刺したかに思えたが、強靭な生命力を持つヘドラは、飛行して逃げようとする。そんなヘドラをゴジラは、吐く熱線をジェット代わりにして飛んで追いかけていく。

果たしてゴジラは最強公害怪獣ヘドラを倒せるのか!

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・感想

ゴジラ映画史上最もカルト的な人気を誇っている作品が『ゴジラ対ヘドラ』。60年代後半のゴジラから社会メッセージがはぎ取られていく中、本作は公害という核に続く恐怖を描いている。また70年代のサイケな雰囲気とゴジラ映画と食い合わせの悪さも、これまでにないおどろおどろしさを演出している。また柴俊夫によるLSD旅行での魚人間との遭遇もめちゃくちゃ不気味である。怪獣映画でこれほどの薬物描写をしてしまう坂野監督はすごいのだ。

また怪獣映画としてはヘドラ最強説の根拠ともなる作品で、おそらくゴジラが最も手こずった相手と言える。もし仮に人間側が用意していた電極板がなければゴジラでも勝てなかっただろう。純粋に個体の実力で言えば、ヘドラは強い。飛んでよし、潜ってよし、組んでよし、離れてよし、の四拍子そろった万能型怪獣だ。

この映画を見て最初に聞かされるのが、ゴジラの主題歌というよりは反公害ソングとしか思えない『かえせ!太陽を』の「水銀、コバルト、カドミウム、、、、」という末恐ろしい歌詞。これほど生々しく汚らしいオープニングシーンはそうない。水辺に漂うマネキン人形とかは、もう確実にホラー描写である。

ホラー描写関連で言えば、富士山麓に集まった若者を遠くから眺める地元の老人達の姿は「光る眼」のように無機質で怖い。そしてその描写がなんの伏線にもなっていないのが、余計に怖いのだ。

ゴジラの過去作ではオリジナル作品などの初期作品を除けば、本作を一番にお勧めしたい。飛ぶゴジラに違和感あるかもしれないが、こっちはシェーをしたり「幸せだな」をするコミカルなゴジラも知っているので大した問題ではない。新作『ゴジラ』の監督のギャレス・エドワーズも本作を一番好きな「ゴジラ対〜〜」作品として挙げている。一気に低学年化していくゴジラにあって、突如現れた異色作こそが『ゴジラ対ヘドラ』なのだ。

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1 個のコメント

  • へドラを赤くしたらムックやねん。

    森末慎二が酷評していたが、予算が少ないなかよく出来たと思う。
    これは名作だと思う。

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