【ゴジラ第九作】『怪獣総進撃』について

7月25日新作『ゴジラ』公開までに過去28作全てを見直すマラソン企画第九弾は1968年公開『怪獣総進撃』です。

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『怪獣総進撃』1968年公開

監督:本多猪四郎

特撮監督:有川貞昌

脚本:馬淵薫、本多猪四郎

出演:久保明、小林多岐子、愛京子、佐原健二、土屋嘉男ほか

音楽:伊福部昭

・ストーリー ※ネタバレあり

20世紀末、国連科学委員会は硫黄島に宇宙空港を作る一方で、小笠原諸島の周辺で魚類を養殖し、陸上では怪獣を集めた「怪獣ランド」を建設し、世界の脅威となっていた怪獣を一カ所に集めて管理していた。

しかし突如怪獣ランドの管理センターが何者かの毒ガスに襲われ、ラドンはモスクワを、モスラは北京を、バラゴンはパリを、そしてゴジラはNYを、怪獣たちは世界各国の主要都市を破壊しはじめた。原因を探すべく月探査ロケットのパイロットらが怪獣ランドに向かうと、様子のおかしい怪獣ランドの職員らによって怪獣がリモートコントロールで操られていることを知る。そして怪獣だけでなく、その怪獣ランドの職員までもが実は現れたキラアク星人によって操られており、そこで地球侵略計画の存在が明らかになる。

反撃を試みる国連科学委員会は月にあるキラアク星人の基地をレーザーによって破壊することに成功する。これによって怪獣のリモートコントロールは地球に委ねられ、キラアク星人の基地のある富士山麓に怪獣たちを結集させる。そこに飛来するのは宇宙怪獣キングギドラ!

地球の怪獣10体と宇宙怪獣キングギドラの対決は、さすがに多勢に無勢。ゴジラ、アンギラス、ゴロザウルス、ミニラによって噛み付かれ、蹴り飛ばされ、踏みつけられたギドラは敗北。

しかしその時、空の向こうから赤く燃えるなぞの物体ファイアー・ドラゴンが飛来する。高速で飛び回る高温の物体は、数時間で東京を壊滅するほどの破壊力を持っているという。そして最後の闘いに、ロケットSY-3号に乗った乗組員たちが向かうのだった!

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・感想

本作の最大の見所は何と言っても富士山麓に結集した怪獣他たちによる、キングギドラを徹底的ぼこぼこにするシーンである。宇宙怪獣キングギドラは最強と言われながら、ここ一番で力が出し切れていない感が強かったのだが、もう本作では全くいいところなしである。特にゴロザウルスに背中からドロップキックを決められるあたりは完全にただのいじめられっ子状態になっている。ミニラにまでコケにされる始末である。完全に怪獣による怪獣リンチである。

当時は怪獣ブームが陰りはじめており、東宝もこの作品を最後に怪獣映画から手を引くことも考えていたらしいが、予想外にヒットしたため企画継続となっている。その要因とは怪獣映画と言っておきながら、実は怪獣がメインではなくSFや宇宙ブームに乗った結果だと思う。

本作では確かに怪獣が大暴れする。しかしそれはあくまで人間の管理下でのこと。人知を超えた圧倒的暴力としての怪獣の姿はもうそこにはなく、人間の前で甲斐甲斐しく振る舞い、たまに宇宙から怪獣来ると憂さ晴らしするかのように凶暴になるだけの存在だ。

怪獣映画というよりも要素としては近未来やSF色の方が全面に出ている。

あと怪獣ランドが作られるのは小笠原諸島と設定されているのは、本作が公開された1968年に小笠原諸島が日本に復帰したことと関係しているのだろう。しかし本来はそういった戦後的メタファーとして読み解いていくのが楽しいゴジラでも、本作はあまりに御都合主義が目立ち過ぎているため、どうでもよくなる。

嫌いな映画という訳ではなく、怪獣大結集シーンや、オープニングの作り込まれたミニチュアのシーンなど見所がたくさんある。ただし物語の深みは、その怪獣の多さに反比例して浅くなっている。

キングギドラのメンツが地に落ちた作品として見る価値はあります。

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